今までのウルトラマンは、人類の味方であり守護者でした。 そして人類側もそれを受け入れ、一丸となり敵と対して来ました。 しかしジャスティスの世界では、それを崩してみました。 舞台は、サンドロスの人類世界です。 サンドロスの人類の文明程度は、地球人類と同程度(コスモスの時代)としてあります。 デラシオンとマギ(オリジナルです)との宇宙戦争に巻き込まれたサンドロス人類が、どのような判断を下して行くのか? ジャスティスは守護者でなく、侵略者の一人又は外宇宙の異邦人としか認識されないのでは? ジュリはジャスティスに共生体として身も心も提供しています。 無心の信頼を置いています。 しかし他のサンドロス人類は如何でしょうか? マギ侵略者に対抗すべく結成された特務部隊も、サンドロスでは非合法の部隊であります。 (これはいち早く、マギが一部の統一政府の高官を洗脳している為です) 操られたと言っても同胞と相打つ特務部隊同士でも、その意見に相違がでるでしょう。 ジャスティス、サンドロス人類、ジュリ(特務部隊)、侵略者マギの四者の思惑は、一つの結末を迎える事になります。 この中で、ジャスティスとジュリがどの様に考え、行動していったのか逐次考察して行きたいと思っています。 |
ウルトラマンジャスティスとは? 彼(彼女)の隠された秘密を妄想してみましょう。 ジャスティスもウルトラマンコスモスと同じく、宇宙における意思のエネルギー体のようです。 彼(彼女)は、過去にサンドロス星人の守護者として、宇宙の正義から彼らを守ってきたのでした。 残念ながらサンドロス星人達は、自己の精神を昇華できず、宇宙の悪意となってしまいました。 守りきれなかった被保護者への後悔と懺悔が、彼(彼女)の心を深く閉ざしてしまい、その罪の意識の強さ故に全ての物事に対して冷たく当たってしまいます。 以後、彼(彼女)は、揺ぎない“宇宙正義デラシオン”のみを信じ、宇宙にとって危険な要素、不完全なものを排除しようとします。 ジュリ〔吹石一恵〕 ウルトラマンジャスティスの地球上での姿(人間体)です。 彼女はコスモスのムサシと同じく、ジャスティスとリンクしたサンドロス星人の姿を借りているものと思われます。 ジャスティスは過去の過ちを忘れないように、彼女の姿を使い続けることにより、その思いを堅固なものにしようと努力したのでしょう。 ジュリとジャスティスとの関係は詳しくはわかりません。 しかし、サンドロス星人と敵対した後もその姿を借り続けたと言う事は、かなり密接な関係であったと推測されます。 〜第一話 ジュリ〜 デラシオンと敵対する宇宙星人マギとの宇宙戦争は、全宇宙に拡大の一途を辿っていた。 数百万の惑星系が、その戦闘で破壊され、多くの被戦闘員が犠牲となっていた。 デラシオンの戦士として、ウルトラマンジャスティスもマギとの戦闘を繰り返していました。 その戦闘の最中マギとジャスティスは、未開の惑星系に不時着してしまいます。 それが、サンドロスでした。 銀河の辺縁に位置する惑星サンドロスは、デラシオンから見て未開の人型生命体が、生活を営んでいました。 未開と言ってもコスモス時代の地球文明と遜色なく、地球人類と似通っていました。 マギは、サンドロスの人類を自分たちの戦兵とすべく、侵略を開始します。 ジャスティスは、サンドロスをマギの手から守るべく、この地に留まろうと決意するのでした。 サンドロスの宇宙科学研究員のジュリは、墜落した物体の調査から異生体マギの存在を知ります。 しかしサンドロスの統一政府は、その存在を明確に認めようとはしません。 (実は、すでにサンドロスの政府高官の一部は、マギによって洗脳、改造されていました。) 単独でもその調査を行おうとするジュリに、マギの刺客が襲い掛かりました。 絶体絶命の時、ジャスティスがジュリの前に現れます。 マギの刺客を倒したジャスティスは、ジュリに共生体への同意を願います。 重大自体を理解したジュリは、サンドロスをマギの魔手から守る為に、その願いを受入れるのでした。 ジュリの父“ドーン”は、サンドロスの防衛軍司令官です。 ジュリが襲われた事件をきっかけに、ドーンは防衛軍の中に特務部隊を設立し、ジュリをそのメンバーに加えます。 特務部隊は、マギの実態調査と潜入を阻止するのが任務ですが、残念ながら政府公認の組織ではありません。 サンドロス防衛司令官“ドーン”の私設任務部隊の性格を有しています。 この為、サンドロス政府にも秘密裏に行動することになります。 マギは、サンドロス政府の一部に寄生することに成功しており、直ちに自分達の戦兵を作り出す為に、軍事基地の改造を執り行いました。 表向きは、初めての恒星間航行宇宙船の建造でしたが、実際は、恒星間弾道ミサイルの製造を行っていました。 準光速の恒星間ミサイルは、デラシオン同盟の宇宙ステーション基地に狙いを定めていたのです。 予算の流用に気づいた会計検査員の報告を受けたドーンは、特務部隊にその調査を行わせます。 その結果、サンドロス政府高官“メイソン”が、マギの共生体であること、軍事基地で未知の技術でミサイルが作られ、それにより、サンドロスを宇宙戦争に巻き込む可能性がある事を突き止めます。 ミサイル基地の爆破と共に、政府高官メイソンを秘密裏に暗殺するように指示するドーンでしたが、ジュリ以外のマギへの実感がつかめない隊員達は、戸惑いを隠せません。 その混乱の中、ジュリはミサイルの爆破に成功しますが、メイソンには逃げられてしまいます。 メイソンの共生体であるマギは、ジュリ達を壊滅させる為に分離し、巨大戦闘獣ギニガニとなって襲い掛かります。 ジュリはジャスティスに変身して、ギニガニと戦います。 サンドロス軍、特務部隊、ジャスティス、ギニガニの4つ巴の戦闘は、激烈を呈していきます。 からくも勝利したジャスティスと特務部隊でしたが、サンドロス人類同士で戦いあわなければならない事情は、今後の任務に多くの困難が予想されました。 マギの変身体ギニガニが、ジャスティスに語りかけた言葉 “この生命体に期待するのは、止す事だ。彼らの欲望は限りないぞ。その為には同胞も売り飛ばす奴らだ。こんな奴らの為に加勢するとは・・・・” その言葉が、ジャスティスの心に一抹の不安を呼び起こすのでした・・・。 |
ウルトラマンジャスティスといえども全てのサンドロス人類を救う事はできません。 見え隠れする侵略者マギより、身近なジャスティスに対して理不尽な怒りが向けられたかも知れません。 その無力感は、ジャスティスとジュリにどんな運命を導くのでしょうか? 〜第二話 確執〜 マギの侵略は、サンドロスの多方面にわたり繰り返し行われました。 特務部隊は、マギの侵略を阻止する為に、戦闘を繰り返していきます。 そんな折、ある情報が特務部隊に伝えられました。 “マギがサンドロス人類と大量に入れ替わった都市があり、その識別が非常に困難である”との情報が・・・。 今までは、単体での洗脳と同意による共生が多かったマギですが、ついにサンドロス人類との強制的な入れ替わりを行ったようでした。 選別できない事情は、サンドロス人類にとって脅威でした。 今までは、洗脳体又は共生体を駆逐すれば良かった任務も、全てを抹殺しなければマギの侵略を食い止める事が出来ない事を意味したのです。 (丁度、伝染病の保菌者と発病者の関係を考えると理解しやすいかもしれません。) ジャスティスと共生しているジュリだけは、サンドロス人類の中でマギを選別できる能力がありましたが、一人だけで何万人の人類を救う事が不可能でした。 苦悩する特務部隊は、科学的にその選別が可能になるような機器の開発に着手します。 ところがサンドロス防衛軍は、この情報を察知して驚愕な作戦を行おうとします。 その都市を隔離して、重粒子爆弾による絨毯爆撃と機動歩兵による掃射で、都市に住むすべての住民を駆逐し、マギの侵略を防ごうと言うものです。 作戦を阻止する為に出動する特務部隊でしたが、マギに洗脳された防衛軍と戦闘に陥ってしまいます。 マギは、サンドロス人類同士の戦いで恐怖を増幅させ、その意識を食らうエネルギー生体獣リサリブを作ろうとして、情報を流したのでした。 ジュリの活躍で共生されているのは、住民の数人(管理官)である事を突き止めた特務部隊でしたが、掃射作戦が開始されてしまいます。 ジュリは、ジャスティスに変身して、都市を守ろうとしますが、サンドロス防衛軍に都市の一部が焼かれていきます。 阿鼻叫喚の地獄絵図が展開され、その恐怖はマギの思惑通りにリサリブに注入され、全てを巻き込んでの戦闘が開始されたのです・・・。 一つの都市の壊滅と引き換えにマギの侵略は阻止されました。 しかし犠牲があまりに多すぎました。 ジュリに、仲間の隊員の言葉が響きます。 “何故、私の娘は守ってもらえなかったのだ?ジャスティスはサンドロスの守護神ではないのか?” 理不尽な結果を受入れられない、人々の思いは、身近な異星人ジャスティスに向けられていくのでした。 |
ジャスティス+ジュリは、宇宙正義の為、サンドロスを守り、マギを倒そうと努力しています。 しかしサンドロス人類側の正義は、ジャスティスと同じ正義なのでしょうか? 勝手に戦争に巻き込まれた彼らの正義は、別に無いのでしょうか? 〜第三話 相違〜 マギのサンドロス人類への潜入は巧妙を窮め、徐々にその影響は広がりつつありました。 マギの影響下に無い地域の住民達にも、その脅威は肌で感じられるような状況になりつつありました。 特務部隊も善戦していましたが、その脅威を押しとどめるには至っていません。 先の虐殺事件でサンドロス人類は異星人に対する確執が強くなり、全ての異星人を憎むようになっていったのです。 ジュリは、サンドロス人類の変質に驚きを隠す事ができませんでした。 “皆、間違っている。異星人の全てが悪い人達ではないわ。皆が争って全てを敵にして戦うなんて・・・” しかしジュリの願いもむなしく、サンドロス統一政府は異星人全てに敵対行動を取る事を正式に決定し、特務部隊もドーン司令官の解任により、防衛軍の一部として編入されてしまいます。 編入に反発したジュリは、一人で部隊を脱隊し、独力でマギとの戦闘を続けようとします。 ある時、サンドロス星系内に損傷を受けた宇宙船が飛来しました。 防衛軍の攻撃をかわし、山林の湖底に潜む宇宙船の正体は、マギとの宇宙戦争で故郷を失った異星人の難民船でした。 ジュリは彼らを助けようと努力しますが、特務隊の仲間に裏切られ、防衛軍に通報されてしまいます。 “彼らも異星人なの。サンドロスを侵略しないと誰が保障してくれるの?!” マギとの戦闘で家族を失った彼女の悲痛な叫びは、ジュリの心に響きます。 サンドロス政府は、彼ら難民を強制退去させるつもりでしたが、マギの共生体の指揮官は、彼らをマギの支配宙域に誘導して虐殺を図るつもりでした。 それを知ったジュリはジャスティスに変身してマギの宇宙戦闘艦と戦います。 ジャスティスは奮戦しますが、多数のマギの宇宙艇の攻撃に窮地に追い込まれ、難民船もついには被弾してしまいます。 その時、突然サンドロスの宇宙戦闘艦がジャスティスとマギの戦闘に介入してきました。 サンドロスの攻撃にマギの攻撃が躊躇した瞬間をジャスティスは逃しません。 ダグリュート光線で、マギの戦闘艇を撃破します。 難民宇宙船は、からくも窮地を脱し、サンドロス星系を飛び立っていきました。 サンドロスの宇宙戦闘艦には、特務隊の隊長とジュリを裏切った仲間の姿が・・・・。 かつての仲間である彼らからメッセージが届きます。 “ジャスティス、君は宇宙の正義の為に戦っている。しかし我々の正義は、サンドロス人類の平和だ。今回は不幸な結末だったが、その為には犠牲を厭わない。” 以前の仲間との考え方の相違に、ジュリの思いは深い悲しみに陥るのでした。 |
いよいよデラシオンがサンドロスへの攻撃を直接行おうとします。 サンドロスの平和、宇宙正義、理不尽なデラシオンの通告、ジュリとジャスティスは苦渋の選択を迫られます。 独り、マギとの決戦に向かうジュリの前に、理解者が現れますが・・・。 〜第四話 独り〜 侵略者マギのサンドロス星系の侵攻は、デラシオン宇宙軍にとって座視し難い状況となっていました。 幾度と無く、サンドロス星系より飛び立つマギの宇宙戦闘艦は、デラシオン宇宙軍の後背に襲い掛かり、甚大な被害を与えていたのです。 ここに至りデラシオンは、サンドロス星系への直接的な軍事行動を起こします。 突如としてサンドロスの空に、無数のデラシオンの宇宙戦闘艦が現れます。 ジュリは、ジャスティスを通してデラシオンに連絡を取ろうとします。 “デラシオン、待って下さい。今はまだ攻撃をしないで下さい。サンドロス人類が独力でマギを駆逐できる希望が、あります。” しかし、デラシオンからの返答は非常なものでした。 “不完全な個体が故に悪意に支配されたマギと、同じく不完全な個体のサンドロス人類は、マギと同じ道を進むであろう。宇宙正義の元、悪意に染まりつつある個体には、存在を許す事ができない!” デラシオンの直接攻撃から逃れられないと知ったマギは、最期の手段として、サンドロス星系を爆破する為に惑星爆弾を作動させます。 これが爆発すると、サンドロス太陽系が崩壊し、駐留しているデラシオン宇宙軍が壊滅するでしょう・・・当然サンドロス人類も死滅を免れない・・・。 デラシオンの武力誇示は、サンドロス政府にも敵対行為と移りました。 彼らは、独自にデラシオンへの対抗措置を執ります。 都市防衛軍として配備された特務部隊と出会ったジュリは、隊長にお願いします。 “サンドロス人類の敵は、マギです。デラシオンではありません。どうぞ御願いします、デラシオンと戦わないで下さい。” ジュリの言葉に隊長は、“攻めてきている侵略者だぞ!彼らにサンドロスの命運を委ねる事はできない!”との返答が・・・。 ジュリは一人、マギの本拠地を探るのでした。 デラシオン攻撃の作戦指示を仰ぐ為に本部に戻った特務部隊の隊長は、そこでマギの作戦を知ります。 サンドロスを愛する特務部隊隊長は、怒りからそこに居合わせたマギの共生体の司令官達を射殺しようとして、銃撃戦となってしまいました。 隊長は、マギの共生体の司令官に撃たれてしまいます。 潜入していたジュリと出合った隊長はジュリに謝罪し、マギの作戦を言い残すと、死んでしまいます。 そこに現れた特務部隊の仲間達は、ジュリが隊長を射殺したと誤解してしまうのです。 ジュリは其の誤解も解けぬまま、惑星爆弾を求めて基地地下の最深部へ、そして特務部隊の仲間はそのジュリを追うのでした。 デラシオンのサンドロス攻撃まで、あと数時間・・・・。 |
さて、デラシオンとマギ、サンドロスの戦いはついに全面戦争に陥ってしまいます。 コスモスでも不完全な生命体の除去に積極的だったデラシオンです。 サンドロスでも似たような状況があったと思われます。 コスモスのムサシには、信頼し合う仲間がいました。 彼らの力は、コスモスとムサシに大きな力を与えました。 しかしジュリには、信頼すべき仲間がいません。 彼女を一番信頼しているのは、ウルトラマンジャスティス独りです。 ジャスティスが危機に陥った時ジュリの取った行動は・・・・。 〜第五話 約束〜 ついにデラシオンとサンドロスとの全面戦争が始まります。 無数のグローカーに蹂躙されていくサンドロス防衛軍は、徐々に後退を余儀なくされます。 無防備な住民であろうとなかろうと無差別の攻撃を行うグローカーの軍団。 地上での混戦の中、サンドロス防衛軍基地の地下では、マギの作戦を食い止めようとジュリが潜入を図っていました。 しかし、特務部隊の仲間の邪魔が入り、上手く行きません。 マギの惑星爆弾の起動装置が最終段階に入ろうとする時、ジュリは基地最深部の重要施設にたどり着く事に成功します。 惑星爆弾を見た特務部隊の仲間はジュリの本意を知り、マギ共生体の司令官と対決する事になりますが、防御砲火の前に次々と倒れてゆきます。 仲間は、ジュリに以前の非礼を詫びて最期の突入を図り、銃弾に倒れるのです。 仲間の死にジュリは怒り、ジャスティスに変身して、惑星爆弾を異次元に投棄するのでした。 作戦の失敗で、逃亡を図ろうとするマギの宇宙戦闘艦を、ジャスティスはバトレックショットで破壊すると、デラシオンとサンドロス人類との攻防の間立ったのです。 グローカーを粉砕するジャスティスにデラシオンは、ビショップを登場させます。 圧倒的な破壊力に、窮地に陥るジャスティス。 ついにカラータイマーが点滅を始めてしまいます。 崩れ落ちるように膝をつくジャスティスにジュリが語りかけます。 “ジャスティス、今までサンドロスの人達を守ってくれて有難う。私の願いは、サンドロスの人達が外の世界と仲良くし、平和に暮らす事でした。でもこのままでは、貴方までが消去されてしまいます。私の命を貴方に捧げます、貴方を守る為に・・・。” ジュリは、ジャストランサーの制御を解除し、自分の生体エネルギーをジャスティスに与えます。 ジュリのエネルギーを得たジャスティスは、ビショップを破壊すると、デラシオンに意思を伝えます。 “今、一人のサンドロス人が、私に命を与えて死んでいった。守護神と呼ばれる私にその身を捧げ、この星の未来を信じて、逝ってしまったのだ。決してサンドロス人の全てが、悪意に満ちた存在ではない。彼女の願いを無視し、サンドロスを滅ぼすわけにはいかないのだ!今一度、サンドロスの人々を信じてもらえないだろうか?デラシオン。” ジャスティスの問いかけに、デラシオンは、光と共に問いただす。 “ジャスティスよ、君の言葉を信じ、サンドロス人達にチャンスを与えよう。だが、ジャスティスよ、一度悪意に染まりし者は、容易に変わりはしない。その時は・・・・・。” 輝きを増すデラシオンの光は、サンドロスに駐留するデラシオンの軍隊全てを包み込み、その姿を消します。 サンドロスの絶滅の危機とマギの侵略は避けられました。 サンドロスに平和が戻ったのです。 数日後・・・ ジャスティスは思います。 “ジュリの願いが叶うかは、サンドロス人の今後次第だ。しかし私を救ってくれたジュリの思いを忘れはしない。その思いを見守る為にジュリの姿を借りてこの地に留まり、彼らを見守ろう”と・・・・。 ジュリの姿を借りたジャスティスは、黒衣に身を包み、サンドロスの街中に消えていったのでした。 |
〜後記〜 伽羅版ウルトラマンジャスティスは、ジュリの魅力と陰のあるジャスティスの関係を類推する所からはじまりました。 人類形体の女性体をとるジャスティスですが、声の質が男性的である点に注目して、何らかの理由でジャスティスがジュリの体を継承して使用していると考えました。 ウルトラマンに性別と言われると疑問かもしれません。 しかし、これは、妄想を引き出す最初のインパクトになったのです。 此処からは妄想ストーリーを元に回想しています。 ジュリとジャスティスの出会いは、一般的なウルトラマンと同様でした。 ウルトラマンコスモスとの共生形体をとるムサシと変わりありません。 ただし、ムサシには理解者があり、多くの信頼できる仲間がいました。 その仲間たちと通じ合い、夢に向かって頑張る温かい気持ちが、コスモスの大きな原動力として表現され、事象を優しい形で解決していきました。 しかしジャスティスとジュリのサンドロス星では、信頼できる仲間は少なく、唯一理解できる相手も次々と失ってゆきます。 信頼できるのはお互いであり、その信頼は物語と共に強くなっていきます。 ジャスティスは宇宙正義を主にサンドロスを守ろうとし、ジュリはジャスティスを理解しながら同じくサンドロスを守ろうとします。 その思いは共生体であるが故に、同様に昇華していこうとします。 最期、ジュリは独りでマギとの戦いに挑みます。 それは、デラシオンとサンドロスの無益な戦争を止めさせる為であり、自分に残った希望“サンドロス人類の平和と宇宙での共存”を果たしたいと思う行為でした。 辛くも最期に理解し会えた友人をマギの凶弾で失ったジュリの怒りは、ジャスティスに姿を変えてマギを粉砕する事に成功します。 ジュリの思いはジャスティスをも動かし、デラシオンと敵対してまでサンドロス人を助けようとします。 だが、ジャスティスはデラシオンのグローカービショップに窮地に落とされてしまいます。 ジャスティスの危機にジュリは、ジャスティスに自分を犠牲にする事で、彼の危機を救おうとするのです。 この時のジャスティスは、自分の無力感に苛まれた事でしょう。 自分の無力の為又、自分を救う為に、自分の信頼する人間が命を絶ったのです。 その悲しみはウルトラマンであっても払拭する事はできなかったでしょう。 死を賭して願ったデラシオンの平和は、ジャスティスの必死の説得でデラシオンに聞き入られます。 しかし、守りきれなかった命に対する贖罪は、ジャスティス自身に重い枷をつけます。 それが、ジュリの形体継承であったと思います。 ジュリの願い、思いを忘れない為、ジャスティスは自ら望んでその姿を継承したのでしょう。 そして、サンドロス人類にもジュリという平和を望んで自己の命を犠牲にした女性が居た事を知らせる為に・・・・。 残念ながら、其の後のサンドロス人の推移は、皆さんの御存知の通り悲劇的な結末に終わりました。 2000年の間、ジュリの為に守り続けたサンドロス人類を自らの手で葬るジャスティスの気持ちは、張り裂けんばかりであったと推測します。 その為に、一層彼(彼女)の気持ちは堅く閉ざされ、デラシオンの正義を遂行する戦士としてその任務に傾倒してきたと思われます。 そんな折、ウルトラマンコスモスと地球人類に出会うことになります。 ジャスティスは思ったことでしょう。 “なんて似ているんだと・・・あの頃の私達に・・・”と。 コスモスの劇中では、ジュリ(ジャスティス)の思いは語られていません。 その点を一度補足したいと思っています。 1)少女と子犬がジュリと出会うシーン “コスモス?” “でも名前負け。とても臆病で吼えてばかりなの・・。” “今は、吼えなかったぞ” “それは、貴方が優しい人だから。” 【ジュリ以外には、優しい人だからと言う台詞を言われたことがないジャスティスには、とても新鮮で、忘れていた気持ちを思い出させた一言だったのでしょう。とても冷徹に正義の代行者として生きてきたジャスティスには、記憶から消えていた言葉なのかも知れません。】 2)暴走族とのシーン 【明らかに人間の邪悪な部分を垣間見て、取り戻そうとしていた昔の気持ちを封印してしまいます。】 “やはり害虫は、害虫か・・・。” “これが、人間の本性だ。守る・・価値も無い・・。” 【しかしジャスティスは、暴走族の誰一人を殺してはいませんでした。優しさと非情の葛藤の狭間にゆれるジャスティスだったからかも知れません。】 3)フブキ隊長とのシーン “あの時私は、人間の為にサンドロスを倒したわけじゃない” “サンドロスは、多くの星を死に追いやった、だから倒した” “宇宙正義に従ってか?!” “そうだ” 【宇宙正義の代行者としてのジャスティスの言葉です。】 “ジャスティスという、もう一人のウルトラマンを初めて見た時、俺は確かに感じた!強さだけじゃない、コスモスと同じ優しさを” 【フブキの言葉は、ジャスティスの呪縛を解くかに思えました。優しさを封印したジャスティスの心の封印を・・・・。】 “サンドロスも昔は人類と似ていた。夢や愛などというあいまいな感情を持った、不完全な生命体だったのだ” “人類は、いずれサンドロスと同じように宇宙を破壊者となる危険な種子だ” “たとえ、それが事実でも人間には2000年の猶予が・・・。” “猶予?” “与えたさ、2000年前サンドロスにな・・・。” 【ジュリの願いが、ジャスティスの脳裏に浮かんだ事でしょう。】 “え?” “だがそれは間違いだった。” “私は過ちを二度と繰り返しはしない” 【その願いを受入れる事で、またその願いを断ち切らねばならない苦しみは、拒否したい。ジャスティスの偽らない気持ちだと思います。】 “君は楽な道を選んでいるだけだ。” “楽な道?” “コスモスもムサシもどんな時でも最期まで希望を持っていた。奇跡を信じていた。” “奇跡か・・” “だが現実には・・・奇跡などおきはしない” 【そう!奇跡が起こらなかった。ジュリは死に、サンドロスをも滅ぼさなくてはならなかった。 フブキとの会話の中で、ジャスティスは過去の過ちを悔やみながらも、それを地球人類に適応させる事に疑問を感じ始めています。感情を断ち切ることで、その考えを払拭しようとしているようです。】 4)ジャスティス変身まで “なぜ怪獣が人間と?” “何故だ?” 【人類の姿に気付いているにもかかわらず、その事実に目を塞ごうとしているジャスティス】 “何故どいつもこいつも!!” 【自分自身への苛立ちが、怒りを呼び起こします。】 “コスモス!これが、お前がこの星を守ろうとした理由か?!” “これが人間の未来を信じた理由なのか?” 【ジュリの願いをかなえてあげられなかった贖罪、サンドロス人類を救えなかった懺悔の気持ち、信頼し合い助け合う人類と怪獣の姿に心の楔を取り去り、真のジャスティスが生き返った瞬間です。】 ジャスティスはコスモスが羨ましかったのかも知れません。 心からお互いが信じあえる相手と共生体で居られるコスモスを昔の自分とジュリの姿に重ね合わせたのでしょう。 とても人間的なウルトラマン、ウルトラマンジャスティスは、そういうウルトラマンなのだと私は思います。 ご静聴有難う御座いました。 by妄想艦隊の伽羅 〜管理人musibaより〜 皆様いかがでした?ちょっぴり悲しいジャスティスのアナザーストーリー。 何故ジュリは喪に服すかの様な黒衣であるのか・・・ まるで何かに祈りを捧げる様な、胸に手を当てる変身ポーズの意味・・・ もしこんな過去があったのなら、納得できると思いません? 伽羅さん、素敵なお話どうもありがとうございました! |