第1話

凶悪昆宙人インセクト星人
巨大昆虫怪獣イノセクター
登 場




太陽系第三惑星“地球”への新しい警備任務につく為に宇宙空間を飛翔するアルヴィスは、火星圏〜小惑星帯で宇宙戦闘に出会います。
戦闘は、人類の宇宙船と何者かとで行われており、人類の宇宙船は断末魔の様子を呈していました。
乗組員の殆どが息絶えていましたが、生存者達が最後の脱出のチャンスの為に搭載艇への移乗を行っています。

宇宙飛行士“マミ”は、木星の衛星ダイモスにある宇宙科学機構所属の基地から、在住の家族を地球へ送り届ける為に、宇宙船ジュピターに乗り合わせていました。
正規の要員でない“マミ”でしたが、偶然にも隔離ラボにいた為に、最初の攻撃による宇宙船司令室の爆発に巻き込まれずに済んだのです。

被要員を搭載艇で脱出させるため、“マミ”は、民間人を誘導します。
「皆さん、急いでください。搭載艇は無傷です、それで脱出しましょう」
困難の末、誘導に成功する“マミ”ですが、手違いから子供を宇宙船に残したまま搭載艇が離脱してしまいます。
「まだ子供が客室に残っています」
「時間がありません。皆さんは搭載艇の発進準備を御願いします。子供は私が・・・」
「御願いします」

小爆発で搭載艇のロックが自動的に解除されてしまいます。
「うゎ?!まだ子供と、あの人が戻ってきていないぞ!」
ゆっくりと離脱しようとする搭載艇。
「イサムちゃん!イサムちゃん!」 子供の名前を泣き叫ぶ母親の姿。
管制所の窓から逃げ遅れた二人の姿が・・・。

「ああ・・待って!もう少しだったのに・・・」
怯える子供を抱きかかえると、即座に宇宙船内部のラボに引き返す“マミ”
「あそこなら・・・まだ・・・!?」
逃げ場を失った“マミ”は、怯える子供を抱きかかえつつ、隔壁ラボへ向かいます。
隔壁ラボであれば、宇宙船の爆発でも生存のチャンスが高いと判断したからでした。
しかしその生存率も0%では無いという程度の希少なものでしかありません。
「御免ね、御免ね・・」
繰り返し子供に謝る“マミ”の目に涙が・・・。
子供を抱きかかえる手に力がこもります。

止めを刺そうと襲撃行動をとる謎の宇宙船。その宇宙船が突然、爆発をします。
アルヴィスが、戦闘に介入したのでした。
一撃の下に謎の宇宙船を撃破すると、アルヴィスは被害を受け崩壊しつつあるジュピター号の研究ラボに侵入します。
ラボで気を失っている二人を見つけたアルヴィスは、テレポートでラボを移動させ救出したのでした。

子供を救う為に身の危険を顧みずに宇宙船に戻った彼女の勇気に心を打たれたアルヴィスは、“マミ”と同化しての地球での活動を彼女に願います。
“マミ”は助けてくれたお礼にアルヴィスと共生体になる事を了承し、アルヴィスの意図を理解した彼女は、共に人の未来を守ろうと決意するのでした。

地球防衛軍の宇宙艦に無事救助された“マミ”と子供は、先に脱出した搭載艇の家族と再会を果たし〔奇跡の帰還〕と地球圏で報道されます。
その勇気と行動力が評価された彼女は、新たに再編制された特務科学特捜隊【Special work Science Special Search Party】通称4S隊に入隊し、人類を襲う脅威と戦う事になったのです。

襲撃事件の解析で謎の宇宙船はインセクト星人のものと4S隊は判断します。
これは、以前に太陽圏内に潜入してきたインセクト星人の情報が残っており、国際科学警察機構の解析により判断されたのでした。
又、ジュピター号の航路の解析データーを検証した際、インセクト星人の母艦が記録されており、これが原因で彼の船が襲撃を受けたものと思われました。

インセクト星人は昆虫形態の異星人で、人類を食料として食らうことを目的としていました。
彼らの侵入は、地球の全ての生物の“死”を意味します。
まさにイナゴの群が農地を襲うが如く食い荒らし、痕には不毛の地が残るだけなのです。

4S隊は装備を整え、貨客宇宙船ジュピター号の遭難地点に向かいます。
地球防衛軍の宇宙戦闘機が一緒に出撃しますが、航続距離の関係でインセクト星人の母艦を攻撃するのは4S隊のSJVのみでした。

「いいか、奴らの母船を地球圏に入れるな。小型の支援艇が発進したら止めようが無いぞ!」
4S隊の“モリオ”隊長から、各機に指示が飛ぶ。
“ナガイ”“タヌマ”“ムロイ”“リョウコ”“マミ”の各人にも緊張が走ります。
「いた!左舷、距離3万! 見つけたぞ、昆虫野郎!」 一番の若手“ムロイ”隊員が叫びます。
SJVは編隊を維持したまま、インセクト星人の母艦へ突入していきます。
SJVの攻撃は確実にインセクト星人の母艦に損傷を与えていましたが、その速度は衰えず、地球圏への侵入を許してしまいます。
「隊長、ダメです、母艦の足が止められません!」 “リョウコ”隊員の震えた声が通信機より響く!
「諦めるな!最初の防衛線には防衛軍の宇宙戦闘機が配置されている。我々は母艦の足を止める事を第一に考えろ!!」 “モリオ”隊長の檄が飛ぶ!

地球圏に突入したインセクト星人の母艦は、腹背から多数の支援艇を発進させていきます。
支援艇はすぐに編隊を形成し、地球防衛軍の宇宙戦闘機との交戦になりました。
機動力に勝る支援艇は、防衛軍をあっという間に蹴散らし、大気圏へ飛び込んでいきます。
大気圏内でも防衛軍と支援艇との激闘が始まりました。
ミサイルの集中打撃で粉砕される支援艇、エネルギー砲で撃沈される防衛群艦艇等、激闘が繰り返されます。
母艦との死闘を継続している4S隊にも危機が訪れます。
母艦の開放板が開き始め、内部より巨大昆虫怪獣イノセクターが出現します。
イノセクターは、SJVの攻撃をものともせずに攻撃を開始、そのエネルギー波により“ムロイ”“マミ”“リョウコ”隊員のSビートルに直撃を与えたのです。
SJVは操縦不能に陥り、前線を離脱。“マミ”以外の両隊員は、脱出カプセルに走り出しました。
「マミ脱出だ!急げ」
コクピットに充満する煙に撒かれながら、急ぎカプセルに向かう3人だったが、“マミ”は二人をカプセルに入れると強制解除ボタンを押してしまうのです。
「え?なに?」 「マミ?!どうした?なにがあった?」
驚愕の瞳で“マミ”の姿をガラス越しに見る二人を乗せて、カプセルは打ち出されます。
無事の脱出を見届けた“マミ”は、アルヴィスに語りかけます。
「もう人間の力では、ここまで。御願いアルヴィス、力を貸して!」
耳にかかるアクセサリーは、アルヴィスから貰ったティシュトリヤのイヤリング。
アルヴィスは、“マミ”の願いを聞き入れると、イヤリングの力を開放し、“マミ”の全身が光り輝くものになっていきます・・・アルヴィスの登場です。
光り輝く者は、戦闘を行っている4S隊からも見えましたが、その姿はあっという間に地球方面に飛び去って行きました。

アルヴィスは、まず地球に到着した支援艇を次々撃破していきます。
指先からの光線・デルライドショットで、支援艇は壊滅します。
返す刀で、怪獣イノセクターと対峙するアルヴィス。
形勢が逆転した防衛軍と4S隊は、インセクトの母艦に総攻撃をかけます。
格闘の末動きが鈍った怪獣イノセクターは母艦に戻ろうとしますが、アルヴィスは怪獣を母艦ごと必殺技ギガカッターで両断します。
大爆発を起こすインセクトの母艦の姿に歓喜する防衛軍と4S隊でした。

「光り輝くもの、巨人・・・」
4S隊隊長“モリオ”は、この奇跡を前に驚きを隠せません。
同じく、4S隊基地の監理官“フジ・アキコ”女史も映像を見て呟きます。
「ウルトラマン・・・彼が帰ってきたわ」
漂流するSJVの脱出カプセルにドッキングする“モリオ”機。
「大丈夫か?ムロイ、リョウコ、マミ、怪我は無いか?」
声を掛ける隊長にムロイ隊員の悲しむ声が・・・
「隊長・・すいません。“マミ”隊員を・・・」
「うん?マミが如何したか?」
「いえ、脱出に失敗してSJVに置き去りに・・・」
涙声に話す“リョウコ”隊員に“ナガイ”隊員が話しかけます。
「そうか・・・じゃ、ここに居るのは誰かな??」
ニヤリと笑う“ナガイ”隊員の後ろから顔を出す“マミ”に、驚きを隠せない両隊員。
「さっき宇宙服で漂流していたのを捕まえた。運が良かったぞ、マミ!」
強面の“タヌマ”副隊長に諭され、頭を下げる“マミ”に、ムロイ、リョウコの両隊員が駆け寄る。
「マミ良かった!怪我は無い?」 「心配したぞ、新入り。もうダメだと思ったぞ」
「すいませんでした、先輩方。あれから宇宙服を着て飛び出したんです。隊長機に発見されて幸運でした」
両先輩隊員の心遣いに感謝する“マミ”でした。
「作戦は終了した。被害は甚大だが、地球は救われた。これより基地に帰還する」
4S隊は、地球への帰途に就きます。
コクピットでは、地球防衛に成功した達成感とこれからの責務への思いにふける“マミ”の姿がありました。
その彼女の左耳のイヤリングが、キラリと光る・・・・。
【第1話/完】


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