4S隊“フジ”監理官の拘束は、防衛軍内部に驚愕と混乱を生み出しました。 警務隊の越権行為と非難が上がるが、“オカモト”参謀の強権に黙る事しかできない状況でした。 なんとか状況を打開しようと、アラシ参謀も駆け回りますが、直ぐには状況が改善するはずも無く、徒労に終わっていました。 「くそう!何とかしないと・・・そうだ、奴に連絡を取るか!」 思い出したように直通電話を取る“アラシ”参謀。 果たして彼は、何処に連絡するのだろうか? “フジ”監理官の拘束は、組織としての4S隊の存続をも危うくしていました。 基地内を逃亡している“ファ”と“マミ”を庇っていると信じている(事実そうなのだが)参謀は、4S隊の行動を阻害し、ついで命令違反による職務怠慢で、解散を画策していたのです。 2人から、“オカモト”参謀が異星人に何らかの関係がある事を聞いた4S隊は、“リュンジィ”の件を参謀に突きつけます。 「おかしいではないですか!」 “モリオ”隊長の激にも動じず、“オカモト”参謀は、静かに語ります。 「彼は、警務隊で保管、調査している。当然メインコンピューターには、移管するまで入力の必要は無い。違うかね?」 「では、お聞きしますが、その屍体を見せていただけますか?」 「そんな必要があるのかね?特に君達には、逃亡犯幇助の疑いがあるのだよ」 挑発した言い種に“ムロイ”隊員が反応しますが、“ナガイ”隊員に止められます。 「ほう。ケンカ早いだけが、取柄かな?」 「どちらにせよ、監理官がいない君達の指揮権は、警務隊が執ることが許可された。で、最初の命令は全員の謹慎だ」 「なんですって?!」 余りの仕打ちに動揺する4S隊隊員たち。 しかし抵抗すべき手がありません。口々に“モリオ”隊長に具申しますが、彼は首を振り、隊員に命令します。 「新監理官はオカモト参謀だ。その彼の命令だから呑むしかない。だが個人的な調査は、私が許す。屍体を探し出せ」 参謀の陰謀を暴こうと意気込む隊員達は、各個人で調査を開始します。 ある者は端末を使って、ある者は徒歩で・・・。 その頃、“ファ”と“マミ”は、格納庫のSJVの中で隠れていました。 「こんな時は、アルヴィスの力って使えないのかな?」 “マミ”の言葉に反応する“ファ”。 「そうね、変身して如何するの?参謀に貴様は宇宙人だって声をかけてみる?」 「ううん、やっぱダメよね。それじゃ私達がアルヴィスだってばれちゃうし、突然言われても証拠がね・・・」 とりとめも無い会話をしている彼女らの目前で、警務隊がなにやら荷物を運搬している姿が目に入るのです。 「ねぇマミ。あれってなんだろう?長方形の箱のようだけど・・・」 「えっ?!」 “ファ”の指摘に“マミ”の目に入ったものは、警務隊マークのついた箱でした。 「なんか怪しいわね。それも少人数で、基地外へ運搬って・・・」 「マミ、ちょっと調べに行くわよ」 “マミ”が止めるのも聞かずに、“ファ”はSJVから出て、運搬作業中の警務隊に近づいてゆきます。 目で合図すると同時に、“マミ”と“ファ”は、一気に警務隊を制圧する事に成功するのでした。 箱の中身を確認する2人が見たものは、なんと“オカモト”参謀。 「え?なに?・・・死んでいるわ」 4S隊独自のコールサインで、皆を集める2人。 直ぐにも格納庫に集合した4S隊は、箱の中身を確認したとたん事情が飲み込めたのでした。 「ファ、悪いがここにいるオカモト参謀が本物だとすると・・・」 「リュンジィが犯人と言う事ね」 哀しそうにつぶやく“ファ”。 そこに現れる警務隊の一団。 「やはり、4S隊を追えば必ず会えると信じていたよ」 現れたのは、“オカモト”参謀。 「貴様は誰だ?」 “モリオ”隊長が問い質しますが、参謀は意に介しません。 「ほほう。箱に隠して仲間の屍体を運ぼうとは・・・反逆行為だな、4S隊!」 「なに?こいつを・・・・・」 勢い叫んで、箱の中身を見せつけ、真実をさらけ出そうとした“ムロイ”隊員だったが、なんと箱の中身が“リュンジィ”に変わっているではないか。 「自分達で、証拠をさらけ出すとは、恐れ入ったよ!」 参謀は、不敵な笑をすると、警務隊員に指示します。 「4S隊を拘束せよ。反逆罪だ」 拘束しようと詰め寄る警務隊員たち。 「罠にはめられたぞ。こいつは囮だ。空気に触れると変化する人造膜で屍体を覆い、最初はオカモト参謀だが、それが反応してリュンジィの姿を作っている」 「例の特殊素材ですか?」 「ああ、こいつは拙いな」 “タヌマ”副隊長の言に“モリオ”隊長が答えます。 そこに偶然にも4S隊の整備班員の集団が現場に出くわします。 日頃から警務隊に不満を持ち、今回の4S隊の処遇に不満を持っていた班員達は、4S隊の窮地を見ると警務隊に襲い掛かるのでした。 警務隊、整備班の大乱闘に紛れ、基地外への脱出を図ります。 状況が悪すぎて、これ以上本部にいれば異星人の策略に陥ってしまうと判断したからでした。 緊急に発進する2機のSJV. かの機の加速に、防衛軍の戦闘機も追尾できるはずも無く、脱出は成功します。 しかし、行く当てのない4S隊。 そこに通信が入ります。 「4S隊に告ぐ。そこより南南西400kmの地点で待て」 突然の通信と強制的な口調に反感を感じた隊員の中には、“オカモト”参謀の罠と称する者もいましたが、“モリオ”隊長の判断でそこに急行する事になります。 命じられた地点には、何も無い空と海が広がっていました。 「なにもありませんが・・・」 “ナガイ”隊員の指摘を受けるまでもなく、何も無い所で旋回を続けるSJV. その目の前に突然現れる巨大な飛行物体。 「なに?これはなんだ?」 驚く4S隊に、着艦するように通信が入ります。 「どうやら防衛軍の新鋭母艦らしいな」 「これが噂の・・・ですか。マミ、ファ君達が盗んだと疑われた設計図は、こいつのらしい」 巨大な飛行戦闘艦に感嘆しながら、話す“タヌマ”副隊長。 艦の前後にある広大な飛行甲板には、防衛軍と4S隊のマークが見られたのでした。 着艦したSJVから降り立った4S隊は、導かれるまま艦内へ。 その司令室で4S隊を待っていた人物は、1人の地球防衛軍総執政官でした。 彼こそ、あの伝説の科学特捜隊隊員“ハヤタ”だったのです。 「ハヤタ執政官、これは?」 「君達の事は、すでに報告を受けている。こいつの試運転も予ねて、君達の容疑を晴らしに行こうではないか」 “ハヤタ”執政官に圧倒された4S隊は、ただ頷き返すだけでした。 統合軍本部に到着した飛行戦闘艦は、空中で停船し、特殊な磁界を本部に照射します。 「これは?」 「特殊な磁場で、異星人を探し出すのさ」 簡単な物言いで、状況を説明する“ハヤタ”執政官。 「しかし・・・なんという・・・本部を一気に照射できるとは・・・」 驚嘆する4S隊に、“ハヤタ”執政官が言葉を継げます。 「ほら、見つけたよ。あれだね」 電磁場に映し出された人物は、警務室の“オカモト”参謀。 「やはり彼が異星人のようだね。では、4S隊に命令します。本部内の異星人を確保するように。これは執政官第一級命令です」 にやりと笑い「アキコも開放してやってくれ」と続けたハヤタに、意気込んで飛び出してゆく4S隊。 SJVが基地に到着すると、基地は大混乱に陥っていました。 異星人の侵入が、新型飛行戦闘艦によって明らかにされ、かつ防衛軍の執政官自らが指揮を執るなど前代未聞の事だからです。 「いくぞ!オカモト参謀を押さえる!」 しかし、4S隊の帰還と任務の失敗を悟った“リュンジィ”は、参謀の仮面を投げ捨て、一気にかたをつけるべく、牙獣に変身して、統合軍本部を破壊してゆきます。 基地と周辺施設への被害を憂慮した防衛軍は、牙獣を攻撃できません。 そこに現れたのは、我らがアルヴィス。 ![]() 牙獣を基地施設から追い出すと、必殺技ギガカッターを炸裂させます。 牙獣は粉砕され、陰謀は防がれたのでした。 “アラシ”参謀は、もと同僚の“ハヤタ”執政官に連絡を取り、窮状の打開を頼んだのです。 4S隊の窮状と異星人の意図(4S隊の解散、防衛軍の組織的破壊工作、人心の混乱)を察知した彼は、新鋭艦の試運転を兼ね、事態の解決に向ったのです。 新鋭艦は、防衛軍の砦として、異星人の技術提供で作られたものでした。これは、メセドメキアに対する銀河宇宙の抵抗軍を組織する上での重要な位置づけとされ、友好的な異星人との交流で技術提供され、極秘に進めた計画でもありました。 メセドメキアはそれを察知し、防衛軍人員の組織的壊滅と計画の破壊を目論んだのです。 疑心暗鬼に陥った防衛軍でしたが、お互いを信頼し合う心が、危機を救ったのです。 異星人の技術力で救われた地球人。 異星人を救おうとした地球人。 異星人を拒絶する地球人。 地球人の生きる道は、今だ確定していません・・・。 【第15話/完】 |