防衛軍は、メセドメキアの正体を探るべく、その解明に努めていました。 しかしメセドメキアが生物なのか、機械なのか、それさえも判断できず、解明は困難と思われていたのです。 メセドメキアは、侵略した異星人を自分の一部として吸収し、再生する事により牙獣を生み出すことは、これまでの戦いで判っていました。 そして牙獣を倒すと、それに吸収され再生されていた異星人が救い出される事も周知の事実となっていました。 彼ら異星人の多くは、メセドメキアから解放された喜びから、地球人類を盟友と賞し、自分達の星を解放する為に戻っていくのです。 人類の中には、彼らを敵として認識し、地球の脅威と判断するものもいましたが、多くの者は、メセドメキアの被害者として優遇して、平和的に彼らを送り出して行ったのです。 そんなある日、防衛軍にメッセージが届くのです。 異星人の名前は“メルビス” ≪こちらはメルビス。地球人類に対する極秘情報を提供したい。これはメセドメキアに対する有効な情報となるだろう≫ 情報の真偽は別として、罠の可能性もありましたが、情報の確認の為に4S隊が受け取りに向うのでした。 相手の指定地点は、小惑星帯。 ここならば、メセドメキアや牙獣の魔手から逃れやすいと判断できた為でした。 “タヌマ”“ナガイ”“マミ”の3人が搭乗したSJVで、指定された地点に到着した4S隊は、そこで牙獣に襲われる宇宙船を発見します。 牙獣に対して戦闘行為に突入する4S隊。 果敢な攻撃に牙獣も撤退を余儀なくされるのでした。 破損し、飛行の継続が難しくなった宇宙船は、SJVとドッキングして、乗員の脱出を試みます。 SJVの気密室から現れた異星人は、宇宙服を脱ぎながら4S隊に礼を述べるのでした。 「助かったよ。私がメルビスだ。よろしく地球人」 「此方こそ、よろしく。さてメルビスさん。メセドメキアに対する極秘情報との事だが・・・」 用件に移ろうとする“タヌマ”副隊長に、“メルビス”が、遮ります。 「ええ、分っていますが、ここでは解析に不適当です。どこか適当な所はありませんか?」 「それならば火星基地に向いましょう。あそこならシステムも充実していますから」 SJVは、火星基地に向って進路をとるのでした。 途中、機内で“メルビス”と会話する機会を得た“ファ”隊員。 「貴方のような可愛い人が戦士とは、驚きました。我がティシュトリヤの戦士は気高いものなので、貴方もそうなのでしょうね」 あまりの褒め言葉に恐縮する“マミ”隊員。 しかし、“マミ”の中のアルヴィスが一瞬、ある言葉で反応したのを見逃しませんでした。 ≪アルヴィス?なに・・・どうかしたの?彼は敵なの?≫ ≪いや、なんでもない、マミ。彼はメセドメキアではないよ。心配しなくていい≫ 呼びかけた“マミ”に答えるアルヴィスは、いつもの変わりない返事を返します。 “マミ”は、ある言葉に反応したアルヴィスを心配するのでした。 ≪ティシュトリヤって・・・≫ 火星基地に無事に到着した4S隊と“メルビス”は早速、解析室へ向います。 「我がティシュトリヤは、貴方と同じく、メセドメキアの脅威に晒されました。死と暴力の応酬は人心を乱し、星を荒廃させていきました」 「しかし、メセドメキアの正体を知る手がかりを手に入れることに成功したのです」 「ほう。それはどのようなものでしょうか?」 身を乗り出して聞き入る“タヌマ”副隊長。 「我々は、牙獣にナノウィルスを撃ち込み、メセドメキア自体を調査する事に成功したのです」 「持ち帰ったデーターには、驚くべき事実が蓄積されたのです」 “メルビス”は、データーディスクを4S隊員に手渡します。 解析機器にデーターを導入して表示を待つと、現れる分子式と記号群。 「これはいったい?」 初めて見る映像は、4S隊に理解できるはずもありません。 「これはディファレーター反応を示しているのです」 「ディファレーターとは、なんでしょうか?」 聞き返す“タヌマ”副隊長に説明をしようと言葉を開きかけた“メルビス”でしたが、それは基地の警報で閉ざされてしまいます。 「司令部です。牙獣が、基地に強襲をかけてきました。4S隊は出撃を願います」 「やつら諦めていなかったのだ!」 「ナガイ、いっしょに来い! マミはメルビスさんを護衛して、データーを確保しろ!」 “タヌマ”副隊長達は、SJVで出撃する為に部屋を飛び出してゆきます。 「行きましょう、メルビスさん」 彼の手をとり、基地を脱出しようとする“マミ”隊員。 しかし、牙獣の苛烈極まりない攻撃で基地の一部が崩壊し、“メルビス”は、瓦礫にはさまれてしまうのです。 「マミさん、私はもうダメです。先の続きを地球の人達にぜひ伝えて欲しいのです」 「いいえ、諦めてはダメです」 助けを呼びに行こうとする“マミ”隊員を引きとめ、話を続ける“メルビス” 「ディファレーターは、とても特殊なエネルギーで、宇宙でも珍しい希少なものです。それがメセドメキアに大量に蓄積されていました」 「我々の星には守護者の戦士がいたのですが、彼も・・・ディファレーターの保持者だったのです」 苦しい息の中から言葉を継ぐ“メルビス”。 「彼とメセドメキアには・・・・」 突如崩壊が進み、“メルビス”は瓦礫の中に飲み込まれていきます。 「メルビスさん!!」 自分の身の危険を顧みず、“メルビス”を助けようとした“ファ”でしたが、彼女も崩落に巻き込まれそうになります。 その時、イヤリングが光り、“マミ”はアルヴィスへと変身するのでした。 苦戦するSJV。 追い詰められたSJVと牙獣の間に、割って出現したウルトラマンアルヴィスに、牙獣は怯みます。 アルヴィスと牙獣との戦いは、アルヴィスの勝利に終わるのでした。 「マミ、残念だったな・・・しかし君が無事でよかったよ」 火星基地の生存者救助に従事する4S隊。 その中で“ナガイ”隊員が、“マミ”に声をかけてくれます。 「しかしデーターも破損し、メルビスも死んでしまって、結局なにもわからなかったな」 “タヌマ”副隊長も残念そうです。 しかし“マミ”の意識は、そこにありませんでした。 ≪ティシュトリヤのメルビス≫ ≪アルヴィスに変身する為のイヤリングの名前・・・ティシュトリヤ≫ ≪ディファレーター?≫ ≪メセドメキアとティシュトリヤの守護者?≫ ≪アルヴィス?なにか知っているの?答えてはくれないの?≫ 思いにとらわれる“マミ”を見て“ナガイ”隊員が声をかけます。 「マミ、メルビスさんは何か君に伝えなかった?」 我に返った“マミ”は咄嗟に答えるのでした。 「いえ、なにも。私は何も聞いていません」 踵を返し、作業に戻る“マミ”。 ≪いいわ、アルヴィス。貴方を信じています。貴方が私に話してくれるまで、これは私の心の中で閉まっておくわ≫ メセドメキアの一端を知り得る情報を得た“マミ”隊員でしたが、アルヴィスを無償に信じる彼女は、時が来るまでその事実を伏せようと決意するのでした。 メセドメキアとアルヴィスに新たなる関係の示唆。 この事実は、暫くの間“マミ”と“アルヴィス”の間で秘密になるのでした。 【第16話/完】 |