異星人との門戸を開いた地球人類。 暫くは、混乱を防ぐ為にサブリナス諸島のみを宇宙提携港として開放し、運用する事になったのです。 今後、文明的交流が図られ、地球人の宇宙進出も近いことでしょう。 また、メセドメキアとの戦闘では、善戦している事が伝えられていて、メセドメキアと戦う異星人からの同盟申し込みが、多数寄せられていました。 防衛軍は、宇宙連合参加への第一歩として、派遣部隊の同盟星系への派遣を決定します。 惑星“モンスク” メセドメキアに地球暦で2年前壊滅に陥ったモンスクから、地球への救援要請があったのです。 防衛軍は、人道支援名目で、輸送母艦1隻と特務科学特捜隊の出撃を命令したのです。 4S隊は地球防衛の任務を一時的に解かれ、モンスク派遣軍に編入されます。 「4S隊、派遣任務に出撃します」 “モリオ”隊長の号令と共に出撃しようとするSJVに“発進待て”の連絡が、管制部からされます。 停船したSJVに乗り込んできたのは、科学局局員“ハザマ”。 “イデ”博士の懐刀とも言われる行動派の科学局員で、4S隊でも噂になる人物でした。 「すいませ〜ん。ちと深夜までレポート作業に追われまして、準備に遅れました」 呆れ顔の4S隊員を尻目に、自分が座る席を勝手に探して、着席する“ハザマ”。 「こりゃ!♪長旅に、こんな美人さんと御一緒できるとは、うれしいねぇ〜」 “ハザマ”の選んだ席の隣には、“マミ”隊員の姿が・・・。 微笑む“マミ”隊員、でも目が笑っていません。 「こわ〜〜、知らぬが仏だ。ハザマ局員、到着まで生きていると良いが・・・」 “ムロイ”隊員の呟きに、他の隊員も頷き返すのでした。 空間転位航法を繰り返し、2日で到着したモンスク星系。 かの地は、メセドメキアによる侵略の洗礼を受けていて、都市に大きな被害を受けていました。 到着した派遣軍を出迎えてくれたモンスク人にも、その心に大きな傷がある事が、垣間見られたのです。 「ようこそ、歓迎致します。地球の皆さんとお会いできて、光栄です」 モンスクの住民代表が、派遣軍と4S隊を歓迎してくれます。 モンスクでは、今だメセドメキアの牙獣の攻撃を受けていましたが、ある兵器の開発に成功していました。 メセドメキアが生み出す牙獣は、意思の結合体の為に通常の攻撃では、本体にダメージを受けにくいのです。 ところがモンスクの兵器は、その意思の結合を電気的に作用させ、結合を断ち切る事ができるのです。 歓喜したモンスク人は、牙獣撃滅にその兵器を使用します。 効果は抜群でした。 結合を断ち切られた牙獣は、その存在を維持できず、分解します。 メセドメキアへの有効な対抗手段が、ついに手に入ったのでした。 このままモンスク星人はメセドメキアに勝利するかと思われたのですが、そこに現れたのは新たな牙獣でした。・・・いえ、牙獣とは、言えませんでした。 それは、明らかに牙獣と異なった姿かたちを有していたのです。 優美なる肢体、輝ける光のマークに畏怖を感じることもできず、ただ畏まる事しかできなかったのです。 しかし、それは正義の使者ではありませんでした。 それは、やはりメセドメキアの使者だったのです。 彼らには、モンスクのメセドメキア対抗兵器は効果がありませんでした。 超人的な破壊と死を呼ぶ戦士は、モンスクでこう呼ばれました“超人戦士(ウルトラの戦士)と・・・。 話を聞き終えた“マミ”隊員は反論します。 「ウルトラマンが、メセドメキアの使者なんて、とんでもない誤解だわ」 頷く地球人たちだが、モンスク星人には受け入れようもない事実でした。 「対メセドメキアの兵器として、これを地球人に贈呈する。その代わりに、モンスクの住人をここから脱出させて欲しい」 対抗手段を失い、後は滅亡を待つだけのモンスクからの脱出は、独力では不可能なまでに消耗していた彼らだったのです。 モンスクの代表者の願いに、地球軍指揮官と4S隊隊長“モリオ”は、快諾するのでした。 そこに突然、モンスクの警報が空港に鳴り響きます。 「どうしたのですか?」 “タヌマ”副隊長の問いかけにモンスクの代表者は、側近からの話を地球人達に告げるのです。 「奴が・・・奴が来ました・・・」 顔面蒼白の代表に、“モリオ”隊長が問い直します。 「ええ、奴が、超人戦士がやってきます」 地球人とモンスク星人は、避難民と機器の積み込みを輸送船に行う為、協力して活動を始めます。 4S隊のSJVとモンスクの戦闘部隊は、超人戦士を迎撃します。 飛来した戦士は、一撃でモンスクの戦闘機隊を撃破すると、SJVに向ってきます。 その姿を見た4S隊は、驚愕の事実を確認するのでした。 「な?なに!?ウ、ウルトラマン?」 異口に叫びだす4S隊員。その中でも“マミ”、“ファ”両隊員には、信じられぬ事実でした。 「アルヴィス?え?なぜ?」 二人は心の中で叫びます。 ≪マミ、ファ、あれは、アレティアだ≫ 突然心に響くアルヴィスの声に、二人は問いかけます。 ≪アルヴィス、“アレティア”って?どう言う事?≫ 混乱している二人でしたが、、アルヴィスは無言のままです。 4S隊は、アルヴィスの形をしたメセドメキアの使者と戦闘になります。 しかし、その姿に翻弄され、思い切った攻撃ができず、何時もの精彩を欠きます。あっけなくSJVは撃墜されてしまうのでした。 不時着したSJVから脱出した“マミ”隊員は、幸にも衝撃で気絶した“ムロイ”隊員の介助を“ファ”に任して、アルヴィスに変身します。 光と共に現れる“アルヴィス”の姿に、地球、モンスクの両人類は、両極端の反応を示すのでした。 「おお、ウルトラマンが、助かったぞ!」 「メセドの使者が、二人・・・もうだめだ・・・」 アルヴィスとアレティアが、合間見えます。 その瞬間、アレティアから衝撃波が発せられアルヴィスに命中し、地面に叩きつけられてしまうのです。 ≪なんて衝撃なの?こんな力で攻撃を受けたのは、初めて・・・≫ “マミ”の思いは、“アルヴィス”にも伝わります。 ≪アレティアは、私自身だ。そう思って戦うのだ、マミ。気を抜くと殺られるぞ≫ ≪えっ?あなた自身?≫ “マミ”の当惑にアルヴィスの力が弱まります。 アルティアは、そんなアルヴィスを見透かしたように強打を放ち、追い込んでゆきます。 防戦一方のアルヴィス。 ≪マミ、心を一つに、でないと・・・≫ アレティアの一撃を受け、再度地面に叩きつけられるアルヴィス。 ≪なにをしているの!マミ!!≫ “ファ”の叫びが聞こえた“マミ”は、迷いを振り切ります。 ≪ええ、貴方を信じているの、だからあれが、なんであってもかまわない!≫ “マミ”と“アルヴィス”の心は一つになり、反撃を開始します。 アレティアの衝撃波を空中で避けると掌打を浴びせます。 吹き飛ぶアレティア。 ![]() 倒れたアレティアからアルヴィスに心声が伝わってきます。 ≪なぜ邪魔をする?なぜ助けようとする?彼らは迷うもの、導く必要がある弱い生き物だ≫ ≪だまれ、アレティア。貴様にそれを語る資格はない!≫ ≪ふふふ、何故だ?私は貴様であり、貴様は俺であるはずだ。俺を否定する時は、貴様自身を否定する事になる≫ ≪いいや、貴様と私は違う!≫ ≪どう違うというのだ?姿形はもちろん、技もスピードも同じ。そして生まれも・・・≫ アレティアの話が終わる前に、アルヴィスの連打が繰り返されます。 防戦するアレティアに、アルヴィスは叫びます。 ≪貴様は、ここにいるべきでないもの。死と悲しみを導く使徒は、混濁の闇に帰れ!≫ 渾身のギガカッターはアレティアを両断し、黄泉へと返します。 その後からメセドメキアの影が・・・ ≪アルヴィスよ、受入れよ。かの地が貴様の故郷なり、かの地が・・・・≫ メセドメキアは、呪文のように語りながら姿を消すのでした。 無事メセドメキアの攻撃を防いだ4S隊とウルトラマンアルヴィス。 しかしアルヴィスとメセドメキアの関係は、分かりません。 新たな疑問を残しつつ地球への帰途につく、防衛軍輸送艦。 その機内の席上、又もや隣の席になる“マミ”と“ハザマ”局員。 “ハザマ”局員は、モンスクの兵器の解析とメセドメキアの資料を集め、分析していたのです。 「アレティア・・・」 “マミ”隊員の呟きは、隣の“ハザマ”局員にも聞こえます。 「ん?なんだい?その言葉、何処かで聞いたことがあるね」 怪訝な顔で、“ハザマ”局員を見返す“マミ”隊員。 「アレティアって、ギリシア語の“真実”の事だろう。へぇ、君はギリシア語にも精通しているんだ」 妙な誤解と感心をする“ハザマ”局員。しかし“マミ”隊員は、彼の話の続きを聴いていませんでした。 ≪アレティア、、真実、、一体どうなっているの?≫ アルヴィスとの絶対の信頼を置く、“マミ”の心に一筋の闇が広がります。 しかし、“マミ”も“アルヴィス”もそれに気づく事はありませんでした。 それが、あの事件の前触れとなる事も・・・・・・・。 【第18話/完】 |