夜間のサブリナス諸島をパトロールする“マミ”と“リョウコ”の前に、突然異星人の姿があらわれます。 「止まりなさい、動かないで!」 “マミ”と“リョウコ”隊員の掛け声に、動きを止める異星人。 しかし様子がおかしい事に二人は、気づくのです。彼は、傷ついていたのです。 ≪御願いだ、地球人。我が同胞、家族の命を救って欲しい・・・・≫ 顔を見合わせる二人は、彼を科学特捜隊医務局に連れて行くのでした。 医務局での診療により回復の兆しが見えた彼を尋問したところ、詳細が判明しました。 彼は、数年前にメセドメキアの侵略を受けて消失したドウナ星人でした。 ドウナ星人は、生物的な特異体質で、地球人で言う超能力を有する異星人でした。その力を狙われたドウナ星人は、メセドメキアから狙われ侵略され、囚われの身になったのでした。 力を解析し、新たな生命体を生み出す為に犠牲になるドウナ星人。 そんな彼らを助ける為に、彼(ディメロン)は仲間の協力で、牢獄の捕獲フィールドを抜け出したのでした。外部に助けを求める為に。 途中、牙獣の攻撃を受け、負傷しながらたどり着いた所が、地球でした。 彼の特異能力は転送能力の為、太陽系外から一気に転送し、防衛軍監視網を抜ける事ができたのです。 ≪どうぞ、我々を助けてください。為政者の手から救ってください・・・・≫ 彼の話を信じた4S隊は、ドウナ星人救出作戦を決行します。 ドウナ星人は、太陽系から4光年離れた小惑星に囚われていました。4S隊は、小規模の潜入作戦で任務を決行します。 ディメロンの案内で、基地への侵入を行なう4S隊。 入り組んだ内部を進むと、そこには禍々しいまでの状況が確認されるのです。 「こいつは・・・ひでえ」 「くそ、胸糞が悪いぜ」 4S隊員が見たものは、異星人たちの標本でした。まさに生きたまま実験されている者もいれば、体の一部を抉られ、標本にされている者もいます。地獄のような有様でした。 其の後、ディメロンが案内してくれた場所は、広場のような空間でした。 「ディメロン?ここは・・・」 訝しげな4S隊隊員がディメロンを見ると、彼は咄嗟に飛び去り、扉の影に隠れます。 驚く4S隊ですが、時既に遅く、ガスに包まれてしまいます。倒れてゆく、隊員たち。 しかし、ガスの中から現れる人影にディメロンは驚くのです。 「なぜだ?なぜガスが効かない?お前は何者だ?」 “マミ”を引きずるようにガス雲の外に放り出した“ファ”が、そこにいました。 「ディメロン、私にはこのガスは効かないわ。これは地球人用でしょうからね」 「とすると、貴様は、異星人なのか?」 「そういう事ね!」 言うが早いか、ディメロンに取り付き格闘する“ファ”。 ディメロンも“ファ”を迎え撃ち、壮絶な格闘を繰り広げます。そこに地響きと共に出現する牙獣ツインフレスの姿が。 ガスは、牙獣が噴出していたのでした。 ガスから意識を回復した“マミ”は、アルヴィスに変身し、4S隊の救出を試みます。 ディメロンは、作戦が失敗した事を悟ります。 「すまなかった、地球人たちよ。我が同胞と家族の生命を救う代わりに、地球人の標本を集める手引きをしたのだよ」 「為政者ジュダは、失敗を許さないだろう・・・」 悲しみ、力を落すディメロンに“ファ”は、強く言います。 「なら、御願い、貴方は牙獣を、アルヴィスを助けて。私は、貴方の同胞を救うわ!」 驚くディメロンは、“ファ”を見つめます。 「分かった。私はアルヴィスを援助しよう。頼む」 「ええ、異星人同士の約束よ」 踵を返し、地下へと走り去る“ファ”。その姿を見届けると、ディメロンは巨大化し、アルヴィスと共に牙獣と戦うのでした。 地下通路を走りぬけ、中心部にたどりつく“ファ”隊員。ドアを爆薬で吹飛ばすと、目の前に人影が・・・。 「そこまでよ!為政者!」 “ファ”隊員の叫びに、動きを止め振り返る為政者“ジュダ”。 ≪ほう・・・地球人がここまで来るとは・・・うむ、違うな≫ 「ええ、私は地球人じゃないから、貴方の罠は私には効かないわ!」 「ドウナ星人達は、どこなの?言いなさい!」 “ファ”の答に笑うような表情を浮かべる“ジュダ”。 ≪ここまで来られた生命体は、初めてだよ。素晴しい・・・素晴らしい・・・≫ 自己満足に陥る“ジュダ”の姿に、“ファ”は、怒りを爆発させます。 「いい加減にして!生命をなんだと思っているの?貴方の玩具じゃないのよ!」 言うが早いか、SSGをジュダに向って発砲する“ファ”。しかし弾丸はジュダに当らず、壁に穴を開けるだけでした。 ≪面白い、お前も面白いな・・・地球人も面白いが、お前も・・・≫ 笑いながら姿を消してゆくジュダは、“ファ”に言い放ちます。 ≪今回は、良く頑張った。褒美としてこれを受け取れ≫ ジュダから“ファ”へ光が投射され、彼女の手に記憶チップが出現します。 「これは・・・?」 訝しげな“ファ”にジュダは勝ち誇ったように伝えるのでした。 ≪それが、君達が探していたものさ。そう、ドウナの人々さ≫ 「えっ?」混乱する“ファ”を楽しむようにジュダは続けます。 ≪全てのドウナ星人を遺伝子として登録した後、分解した。そのチップは君達に進呈しよう、解析できれば・・・だがな≫ 言い残すとジュダの姿が消え去ります。 崩れ落ち、涙する“ファ”。 「うわあぁぁぁ!!!」 “ファ”の叫びは、部屋の中に響き渡るのでした。 アルヴィスと牙獣との戦闘は、基地外で繰り返されていました。 同胞と家族を心配するディメロンは、牙獣ツインフレスに対して満足な攻撃ができませんでした。裏切りを察知したジュダが、彼らを抹殺するのを心配していたからです。 牙獣ツインフレスはアルヴィスを絡め取り、強力なガスを噴きつけ、苦しめます。共生体の“マミ”にガスは多大な影響を与えるのです。 その為に、力を消耗してゆくアルヴィス。 そこにSJVが姿を現し、信号弾を打上げます。ドウナ星人救出成功の合図でした。 ディメロンは意を決してツインフレスに体当たりを食らわします。その一撃でアルヴィスは絡められた状態から脱出できましたが、ディメロンが捕らわれてしまいます。 ディメロンは、ツインフレスの双頭の口に両手を突っ込み、アルヴィスに伝えます。 ≪撃てアルヴィス≫ 躊躇するアルヴィスにディメロンは繰り返します。 ≪撃て! ファと地球人は約束を守ってくれた。私の役目を果させてくれ。撃つんだアルヴィス!≫ ツインフレスの牙は、ディメロンの両腕を噛み切ろうとする勢いでした。このままでは、ツインフレスから又あのガスが噴出されてしまいます。 アルヴィスは、シュイリングをツインフレスに炸裂させます。吹き飛ぶツインフレスとディメロン。 ツインフレスの双頭の首は無くなり、動きも緩慢になります。 最期の力を振り絞り、ディメロンは破砕フラッシュを、アルヴィスはギガカッターを繰り出します。 二人の技は、ツインフレスに命中し粉砕されるのでした。 変身を解き、ディメロンの元に駆けつける“マミ”隊員。 すでに彼の元には4S隊隊員のみんなの姿が、ありました。 ディメロンに寄り添うようにいる“ファ”。その傍にしゃがみ込む“マミ”。 苦しい息の中からディメロンは、“マミ”と“ファ”に、家族の事を聞くのです。 「私の家族は、無事に救出された・・・?」 「ええ、みんな無事よ。私達が助け出したわ。」 ディメロンの家族が記憶された遺伝子チップをポケットの中で握り締め、“ファ”は、答えます。 「だから、貴方は安心して・・・」 “ファ”が差し出す手を握り締めると、“ディメロン”は、首を振ります。 「いや、私はもう・・・家族を頼みます、地球人、そしてアルヴィス・・・・」 「ディメロンさん?!」 ディメロンの体は、彼の死と共に四散していました。 メセドメキアの為政者によって犠牲となったドウナ星人は、自分を犠牲にして、地球を守りました。 しかし、彼の思いは届きませんでした。 「ファ・・・そのチップ・・・」 「ええ、彼の願いが叶うように、その時まで大事に保管するわ。それが、私の約束だったから・・・」 ドウナ星人を記憶した遺伝子チップは、何時の日か必ず解析されるでしょう。 その時、ドウナ星人達は、彼を誇りに思うでしょう。 宇宙を救い、ドウナ星人を守った英雄“ディメロン”の事を・・・。 【第21話/完】 |