第4話

自動潜伏攻撃潜水艦AA
登 場




海洋開発機構は、南洋での海底資源調査の為に深海作業艇を運用していました。
海底4000m付近にある、鉱脈、油脈の層を探査、掘削しているのです。
開発機構は此処に海底工場を作り、資源を送り出していました。

潜水鉱物資源輸送艦002号は、海底基地から2000tの資源を積み出し、目的地に向けて航海を続けていました。
その輸送艦を後方から追跡する影が・・・。
影から突然エネルギーが飛び出し、輸送艦に命中し、撃沈します。
影は何も無かったように深海底に消えていきました・・・・。

サブリナス地球統合本部では、3部(防衛軍、警察機構、4S隊)の合同会議が行われていました。
最近頻発する水中タンカー、輸送艦の遭難事故についての会議でした。
余りにも事故が頻発する為に、事故調査を行った海洋開発機構でしたが、調査船まで事故に合い、調査を国際科学警察機構に依頼してきたのです。
国際科学機構は4S隊にその任務を指示するつもりでしたが、防衛軍参謀本部が合同会議の開催を通達してきたのです。

参謀 「この件に関しては、全ての情報を防衛軍が統括し、科学警察機構から引き継ぐ事にします」
科学警察機構 「何か問題があるのでしょうか?」
不満顔の警察機構幹部に、参謀は、
「何も問題は、ありません。が、科学警察機構側では、調査の為の装備や人員に問題があるのでは?」と答えます。
特務科学特捜隊監理官フジ・アキコ女史は、参謀に「一般的な事件では、科学警察機構の管轄ですが、防衛軍が関与してきたと言う事は、何らかの重大な異変があると言うことでしょうか?」と問いかけます。
参謀は、問いに答えず、沈黙を守ります。
青木義朗参謀長 「事情は如何あれ、今回の事件は防衛軍が直轄する。これは決定事項だ。全員にはこれを認めてもらう」

会議終了後、参謀側の強権に何か意図があると思えたフジ監理官は、知り合いに直通通信をします。
「ダイスケ君?私、フジよ。お久しぶり」
「お、久しぶりだな。珍しいな、君から通信とは。何か問題発生かな?」
フジ監理官が通信しているのは、元科学特捜隊での同僚、アラシ・ダイスケ。
今は防衛軍の参謀として、フジ監理官と同じサブリナス地球統合本部で活動していますが、所属が違う為、頻回には会えません。
しかし、連絡は取り合っており、その仲間意識は今も変わりありませんでした。
「ええ、少し聴きたい事があって・・・」
「今度の輸送艦遭難事件の事かな?」
「ダイスケ君は、察しが良いのね」
「おいおい、いつまでもダイスケ君は、やめろ。アラシ参謀と呼べよ」
通信装置のアラシ参謀は、フジ監理官に苦笑いを返します。
「此処では、ちょっとな。後で昼飯をどうだ。少し付き合え」
通信では答えられない重要要件だと察したフジ監理官は、アラシ参謀の申し出を了承したのでした。

一方4S隊は防衛軍の要請により、遭難事故現場への調査に向かっていました。
今回は4000mと言う深海底の調査である為、4S隊専用の潜水艇を運用していました。
SJVで運搬された潜水艇は、海域の調査を開始します。
「むぅ・・・輸送艦の残骸だ・・」
眼下に認められる輸送艦の残骸は、完全に破壊された事を示し、その破壊力に舌を巻く“モリオ”隊長でした。

突然、探査中の“ムロイ”隊員が、声を張り上げます。
「隊長!何かが近づいてきます。大きいです」
「正体はわかるか?」
「いえ、あっ!消えます・・・・開放音!何かが撃ち出されました!」
「回避!回避!」
“モリオ”隊長の指揮で直撃は回避しましたが、機関部とタンクを破壊され、海底に鎮座してしまうのです。

4S隊潜水艇遭難の知らせに、フジ監理官自らSJVを操縦し、残っていた“タヌマ”“マミ”の2隊員を指揮し現場に向かいます。(リョウコ隊員は基地内での連絡担当として待機)
途中、フジ監理官はアラシ参謀との会話を思いだします。
《あの事件は、防衛軍の秘密兵器が起こしたと参謀本部は推測している。最近、あの近くの海域で演習があったのだが、新兵器の運用実験も兼ねてな》
《ところが、運用開始直後からおかしくなって、行方不明になりやがった》
《慌てた防衛軍は、そいつを探し出そうと躍起だった所で、あの事件さ》
苦虫を潰した顔で話をするアラシ参謀。
《そいつの資料は手に入る?当然極秘資料だと思うけど、ダイスケ君ならきっと大丈夫よね》
こんな表情の時は、警戒しなければならないとアラシ参謀は思うのだが、結局はフジ監理官の思い通りに動いてしまうのでした。

防衛軍極秘兵器 自動潜伏攻撃潜水艦 (Automatic incubation Attack submarine)
全長150mに及ぶ全自動潜水艦で、ステルス技術を多用し、攻撃兵器満載したこの兵器は、一国を破壊できる装備を有していました。
防衛軍は、人類が死滅した後でも運用できる兵器を生み出していたのです。
そしてその頭脳にシャチを移植して・・・。

鎮座した4S隊潜水艇を救助する為に2号艇を着水させるフジ監理官。
“タヌマ”と“マミ”隊員は、潜水艇で1号艇の救出作戦を敢行します。
海底に鎮座する1号艇に接近する2号艇の背後から、またあの影が現れたのです。
AA(Automatic incubation Attack submarine)は、潜水艇を敵と判断し、魚雷を発射してきます。
小型で機動性に勝る潜水艇でしたが、魚雷は近接信管を装備しており、付近で爆発した圧力は、2号潜水艇に損傷を与えます。
艇内は、浸水と電気系統の破損で、“タヌマ”“マミ”両隊員も気を失ってしまうのです。
“マミ”隊員の危機を察知したアルヴィスは、力の発動を行います。
ウルトラマンアルヴィスの登場です。

アルヴィスは、2隻の潜水艇を海上に上げると、待機していたフジ監理官が操るSJVに渡します。
アルヴィスにフジ監理官が頼みます。
「アルヴィス、御願い。AAはここに居たシャチを移植しているの。AAは自分の群を守る為に周辺を攻撃してるの。AAを作ったのは人間だけど、このまま放置させる事はできない。AAを海に戻してあげて」
アルヴィスはフジ監理官の願いを聞き入れ、AAとの決戦に入ります。

深海4000mの水圧はアルヴィスを苦しめますが、AAに群のシャチが呼ぶ声で活動が止まった時に、AAを破壊します。
しかしAAの基盤を其処から取り出したアルヴィスは、中からシャチを救い出します。
アルヴィスの手から逃れたシャチは、群の下に泳ぎさるのでした。

4S隊の全員を救出した、フジ監理官は、思います。
《人間の勝手な都合で、地球に生きる生き物の命を奪う事は許されない。地球に生きる全てを守る為に我々がいるのです。今回の事件は、防衛軍全体にとって良い経験になるといいけど・・・》
【第4話/完】


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