牙獣に追われながら太陽系内に進入する小型宇宙艇を発見した地球防衛軍は、4S隊に救出を命令します。 通信から、小型宇宙艇はドウナ星人のもので、連合を通じて照会されていました。 空間転位航法で、直ちに現場に辿り着くSSS号。 間一髪で、牙獣からの攻撃から小型宇宙艇を救いだしたSSS号は、牙獣を防衛軍の包囲陣に誘い込みます。 無人衛星群の一斉射撃で牙獣の撃退に成功した防衛軍は、宇宙艇をサブリナス基地へと誘導するのでした。 格納庫で、4S隊フジ・アキコ監理官が、ドウナ星人達を出迎えます。 「ようこそ、ご無事で何よりでした」 フジ監理官の挨拶もそこそこに、ドウナ星人の代表と思われる人物が、彼女に申し出ます。 「お願いです、ディメロンのチップをどうか私達に返してください!」 防衛軍参謀本部では、ドウナ星人の申し出に戸惑っていました。 彼らの話では、メセドメキアに攫われた同胞が、メキアによって情報化されたというのです。 そのチップを地球防衛軍が、保持していると・・・・。 防衛軍はその事件については、捕囚されたドウナ星人は全滅し、メキアの基地は破壊されたとの報告を受けていました。 為に、チップの存在は、防衛軍には知るはずも無い事実だったのです。 参謀達の軽い非難の眼を受けつつもフジ監理官は、その存在を明確には認めようとしませんでした。4S隊の機密事項として処理されていたのです。 “ファ”の立場を守る為にも、それは必要な行為でした。 彼女が異星人であるが故のジレンマでもあったのです。 内部調査を行うとの理由で、ドウナ星人達の申し出に時間的余裕を作り出したフジ監理官は、“ファ”と“マミ”に直接の接触を図らせます。 チップの存在が何故知れ渡ったのか? 彼らはメキアの手先で無いのか? 疑惑の払拭の為、彼女達は、ドウナ星人の居住区に向います。 「先程は、失礼しました。私達を救って頂いたのに、御礼もせずに、あのような行動にでてしまい、恥ずかしいです」 ドウナ星人の代表は“メイヤー”と名乗りました。 「いえ、大事な事ですから、お気持ちは察します。私も流浪の身でしたが、こうして地球の方々の好意で、身を寄せていますので・・・」 思わず“メイヤー”が、驚いた表情を作ります。彼女も故郷を失い流浪の身だったからです。 親近感を覚えたように、“ファ”と“マミ”隊員に馴染んでゆく“メイヤー”でした。 その彼女らを見つめる二人の姿が、別々の所にありました。 一人は“ユウコ”隊員、そしてもう一人は“ジン”隊員でした。 “ジン”隊員は、ドウナ星人のチップを欲していました。 彼は、取り込まれたドウナ星人を牙獣として再生させ、自分の思いどおりに操るつもりだったのです。 そんな“ジン”を見つめる“ユウコ”隊員。彼女の対象は“ジン”隊員でした。 談笑する3人は、その事に気づいてはいなかったのです・・・ “ファ”と“マミ”は“メイヤー”を信頼できると判断し、ディメロンの事を詳しく話します。 ディメロンを切り出した瞬間、“メイヤー”は、驚きの告白をするのでした。 “メイヤー”は、ディメロンの妹だったのです。 あの惨劇から脱出できた少数のドウナ星人の中に、ディメロンの妹がいた事に喜ぶ“ファ” そして、兄ディメロンの行方を探索していた彼女の元に突然送られてきた謎の通信文の事を話す“メイヤー” それには、ディメロンが命を懸けて守ったドウナ星人のチップが存在していると書かれていたのです。 差出人は、太陽系内から発信していました。その為、彼女らは太陽系地球を目指していたのです。 フジ監理官の許可を受け、そのチップが存在し、“ファ”隊員が、大事に保管していることを“メイヤー”伝える“マミ”隊員。 “メイヤー”は“ファ”に感謝するのでした。これでドウナ星人達が救われるかもしれないと・・・。 チップを渡す為に、地上のアジア科学特捜隊基地に到着する3人。 その地下保管施設にチップは存在していたのです。 幾重もの厳重な防犯装置を解除し、保管室に辿り着き、チップを手に入れた3人。 しかし彼女らにPurityが、襲い掛かるのでした。 “ジン”隊員の情報のリークでチップを奪い取ろうとするPurityの戦闘部隊に追い込まれてゆく3人。 “メイヤー”とチップを守る為に囮となって“ファ”が飛び出し、“マミ”、“メイヤー”は、別れて逃亡を図ります。 囮は成功し、Purityは“ファ”を追いかけ、“マミ”と“メイヤー”は危機を脱したかに見えたのです。 ところが彼女らの前に、ジュダが現れます。 「ウルトラマンジュダ!」 強敵の出現に“メイヤー”を庇いながら対峙する“マミ”隊員 メイヤーも“ファ”から聞いたディメロンの仇の出現に、言葉がありませんでした。 「メイヤーと言ったな・・・、ディメロンの妹か・・・」 ジュダを見返す“メイヤー” 「お前の兄の事は、知っている・・・同胞を救うために、私に戦いを挑んだ・・・愚か者だ」 「兄の仇!!」 飛び出そうとした“メイヤー”を制止、諭す“マミ”隊員 「貴方もお兄さんように死にたいの?!貴方が倒れれば、ドウナを救う事ができなくなるのよ!」 ジュダの前に立ちはだかる“マミ” 「貴方の相手は、私よ」 彼女は“メイヤー”を無理やり通路に一人で脱出させ、アルヴィスに変身するのでした。 ジュダと対峙するアルヴィス・・・ 「アルヴィス、何故、他の星の人々を助ける?何故、我々に逆らうのだ?」 「ジュダ、私は思うのだ・・・あの時に、我々にも救い人が居たなら・・・いや私にその力があったならと・・・」 「メセドメキアに犯されてゆくウルトラの星が、救えたと?」 「いや・・・今とは違う未来が訪れていたはずだと」 「それは、叶わない夢だ!!」 「そう。だからこそ私の力を、彼女らに貸すのだ。私の想いを彼らに託して!」 一瞬ジュダの動きが止まります。そう、彼も思い出したのです・・・アルヴィスと同じ想いだった頃を・・・ それを感じ取ったアルヴィスは、ジュダに核心部分をぶつけるのでした。 「私は知っている・・・お前が何故ドウナ星人をチップ化したかを」 「・・・」 「お前は、ディメロンが羨ましかったのだ!自分の仲間を救うため、奮闘し、一人戦う彼を!」 「なに!アルヴィス・・・貴様何を?!」 「だからこそ、お前はメセドメキアの目を盗んで、彼らを【キア】を使ってチップ化したのだ」 「そして、それを我が共有者に渡す事で、一番安全な場所に預けたのだろう」 「・・・」 「そんなはずはない!そんなことは・・・」 「同じ様に【キア】を使えば、彼らを解放できるはずだ!ジュダ!違うか?!」 突然、空間が揺らめきだし、それは人形(ひとかた)を作ります。 「いつまで戯言を喋っているつもりだ!」 二人の超人戦士の前に現れたマキシマは、ジュダを諭し、アルヴィスを攻撃します。 「アルヴィス、お前の相手は、このマキシマだ!」 勇戦するも、二対一では苦戦を強いられるウルトラマンアルヴィス。 その時、空間が揺らぎ、エクストリマーが現れます。 アルヴィスを援護するエクストリマー。 ウルトラマンアルヴィスVSマキシマ、ジュダVSエクストリマーの戦いが繰り広げられます。 戦闘の最中、両雄とも別れ、さらに死闘は続きます。 ジュダとエクストリマーは近接した戦闘を行なっていましたが、力の差があり、ジュダが防戦一方に陥ります。 エクストリマーショットを受けたジュダは、撤収を決意するのでした。 「ここまでだな・・・ウルトラマンエクストリマー! いや、“ファ・ロギュテル”と呼んだ方がいいかな・・・」 意外な語り掛けに驚き、動きが止まるエクストリマー。 「マキシマとジンが何をしているか、我々が知らないとでも?」 ジュダはメキアと精神共有している為、彼らの行動はすべて筒抜けだったのです。 “ファ”が“ジン”の誘いに乗って、“マミ”を守る為に自己犠牲を図った事を。 「お前の勇気と哀れみに免じて、ドウナ星人の解放方法を教えよう」 ジュダの言葉に攻撃を止めるエクストリマー。 「ドウナ星人を元に戻せると?」 エクストリマーの“ファ”は、ジュダに問いかけるのです。 「そいつは、メセドメキアが牙獣を育成する為に、人々を取り込んでいく方法をコピーしたものだ」 「よって、メセドメキアを倒せば、その装置が手に入る」 「ウルトラの星にその装置があるというの?!」 「違うな・・・メセドメキアを作り出した装置が、そいつなのだ!」 「そんな・・・それじゃどうやって彼らを救えば・・・」 驚く“ファ”を残し、ジュダは、姿をかき消してゆくのです。 「今は、ここまでだ!エクストリマー、また逢おう!」 空間を飛び越え、メキアの星に戻るジュダ。 共有者“ユウコ”は、ジュダの心の葛藤を捉え、面白がるように問います。 ≪ジュダ・・・何故装置の事を彼女に?≫ 問いかける“ユウコ”に無言のままのウルトラマンジュダ ≪ふふふ・・・ねぇ、知ってる?私も貴方が、ジンやマキシマの事が分かるように、貴方の事が分かるのよ・・・≫ ≪貴方の真実が、見えてしまうの≫ ジュダの心の真実、それを感じ取ってしまった私・・・“ユウコ” そんな“ユウコ”にジュダは、彼女に頼みごとをするのでした。 ≪ならば、是非も無い。後は頼んだぞ・・・≫ ≪ええ、後は私に任せて≫ 一方、マキシマとの激闘を重ねるアルヴィスは、フラッシュリングを放ち、マキシマに打撃を与えます。 マキシマは、アルヴィスとまともに戦っても勝機を得られないと判断し、その場から消え去ってゆくのでした。 地球の宇宙港で、“メイヤー”達の乗る客艇を見送る“マミ”隊員。 “メイヤー”達は、地球防衛軍の好意で、連合の植民惑星へ送られる事になったのです。 失った故郷を再生する為に、4S隊が掛け合った結果でした。 「あっという間でしたね」 「いいえ、あなた方の助けがなかったら、私達は宇宙の放浪者だったでしょう」 そこには、“マミ”隊員と“メイヤー”の別れを惜しむ状況がありました。 「ところで、ファさんは?兄に代わってお礼を直接言いたかったのですが・・・」 “マミ”も超人戦士達との激闘後に別れたまま、“ファ”とは会っていないのでした。 しかし“メイヤー”を見送りに来ないはずもなく、“マミ”隊員は、気をもんでいたのです。 その彼女らに近づく制服姿がありました。 「ユウコさん!」 憤怒の様子で“ユウコ”隊員に飛び掛ろうとする“マミ”隊員。 「貴方は、ここに何をしにきたの?!」 黙って“ユウコ”隊員は、ウルトラリングを“メイヤー”に差し出します。 「?」 リングを見つめる“メイヤー” 「これは、彼・・・ジュダからよ」 「!」 “ユウコ”を驚き見つめる“マミ”と“メイヤー” 「何のつもりなの!あいつは、私達を苦しめ、そして・・・」 “メイヤー”を見下ろし、リングを握らせる“ユウコ”隊員。 「馬鹿よね・・・みんな馬鹿よね・・・、自分の心を偽る事が、どんなに馬鹿な事か、知っているはずなのにね・・・」 それだけ呟くと、“マミ”と“メイヤー”のもとを去ってゆきます。 彼女の言った言葉が、理解できないでいる“マミ”と“メイヤー” それと入れ替わりに“ファ”隊員が、二人のもとに駆けつけます。 「マミ!メイヤー!」 「ファ!来てくれたの!」 恩人の“ファ”隊員が、見送りに着てくれた事を喜ぶ“メイヤー” 「今、ここにユウコさんが来なかった?」 息を切らせながら問いかける“ファ”に“メイヤー”が応えます。 「何故それを?ユウコさん、これを置いていったわ・・・」 ウルトラリングを“ファ”に見せる“メイヤー” リングを示しながら“ファ”は、ジュダが語ってくれたドウナチップの解放方法を伝えるのでした。 「このリングで、解放されるのですか?!」 「ええ、でも装置はメセドメキアの支配下にあるわ。ウルトラの星が解放された時に、それが可能になるはず・・・」 希望が示された事に涙を浮かべる“メイヤー” 「でも、いつになるのか・・・」 直ぐには希望をかなえてあげられない悔しさを口にする“マミ”に、“メイヤー”は笑顔で応えるのでした。 「ええ、いつの日にかで、十分です。ドウナ星人が甦る日が、必ず来るという希望ができたのですから!」 目を輝かし、ウルトラリングを見つめる“メイヤー” 彼女を見つめる“マミ”と“ファ” 3人の笑顔は、宇宙港の夕日に照らされ、希望に輝いていました。 【第46話/完】 |