第52話

ウルトラマンエクストリマー
ウルトラマンジュダ
牙獣軍団
根源的悪意超生命体メセドメキア
登 場




崩れ落ちる地下基地では、隊員達の退避が始まっていました。
地上ではエクストリマーが、無差別に破壊活動を行なっていたのです。
視界に入る物は、人であろうと建物であろうと灰燼に帰しました。
4S隊も避難活動に阻まれ、“キリヤマ”隊員を救出するのが、精一杯だったのです。
しかし“マミ”隊員は、単独で崩壊の危険がある工場区内に突入し、“ファ”と“ムロイ”隊員を捜し求めていました。
そこに現れる“ジン”隊員。
しかし彼の様子は、常軌を逸していました。精神的に錯乱していたのです。
「ファやムロイ隊員を知らない? ジン隊員しっかりして!」
彼は、“ファ”と言う言葉に敏感に反応しました。
「ヒィー!!俺は、悪くない、悪くないんだ!!」
錯乱する“ジン”の頭部に手を置き、記憶を探ろうとする“マミ”。
そこで、すべての事実が彼女に伝わりました。
“ジン”の過去、メキアとの計画と計略、“ファ”との駆け引き・・・そして“ムロイ”隊員の死とエクストリマーの正体に。
「あああ、ファ、何てことなの。私を助ける為に・・・」
自分の不甲斐無さで、親友を窮地に追い込んでしまった“マミ”の禍根は悔やんでも悔やみきれませんでした。
だが、現実にメキアの手に落ちたエクストリマー(ファ)の脅威は、地球にとっても恐るべきものでした。
彼女を止めなくてはいけない。
しかし彼女と戦えるのだろうか?
自問自答する“マミ”にアルヴィスが応えます。

≪ファをとめるんだ。彼女もそれを望んでいるはず≫

「ええ、アルヴィス。その通りよ。必ずファをメキアから取り戻してみせる!」
“マミ”は“ファ”からもらったイヤリングを掲げ、アルヴィスへと変身するのでした。

地上での破壊活動を止めさせようと、アルヴィスはエクストリマーに取り付きますが、弾き飛ばされてしまいます。
すでにエクストリマーは、メセドメキアのエネルギーを取り込んでいました。
為に、以前とは比べ物にならない、強大なパワーを手に入れていたのです。
その力は、アルヴィスを超越していたのです。
全く歯が立たず、そのパワーで、変身を解かれてしまうアルヴィス。
呆然と立ちすくむ“マミ”。

≪マミ、エクストリマーにはメキアの力が、我々ウルトラの戦士の力の集合体が流れ込んでいる≫
≪このままでは、ファ自身を飲み込んでしまい、彼女がメキアの一部となってしまう≫

アルヴィスの指摘に“マミ”も混乱します。

≪ファが取り込まれたら、どうなるの?≫

その問いかけに、ウルトラマンジュダの思念が、二人に送られるのでした。

≪?!、誰?≫ ≪ジュダ!≫

ウルトラマンジュダは、覚醒しかかっているメキアの動きを察知し、アルヴィスにコンタクトしてきたのです。

≪メキアは、直系のウルトラ族の遺伝子を欲している。ファもその一人だ。だからこそアルヴィスの共生者となれた≫
≪その遺伝子は、メキアを封印した時の鍵になっている事に気づいたようだ≫

ウルトラの一族は、メキアの封印をする際に、純粋なウルトラの遺伝子をその鍵としました。
しかし、メキアに取り込まれてしまったウルトラ族には、その遺伝子も変質しており、鍵とはなり得なかったのです。
為に、外世界に逃げたウルトラ族の後継者達から、その遺伝子を得る必要があると・・・。
だが、隔世遺伝子では、メキアの鍵としては弱く、必ず同じ塩基の2つ以上の遺伝子情報が必要でした。
だからこそ、メキアは全銀河で隔世遺伝子保持者を探し出す為に牙獣を生み出し、“ファ”を見つけ出し、“マミ”と接触させ、チャンスを待ったのです。
アルヴィスと言うウルトラ戦士に共生できる二人の隔世遺伝子情報保持者の存在。
メキアは狂喜乱舞したことでしょう。
だからこそ、本拠地を太陽系に移動させたのでした。

「ジュダ!如何すればファを救えるの?メキアの呪縛から彼女を助ける方法を教えて!!」
“マミ”の願いに、“ユウコ”もジュダに促します。
「ジュダ・・・」

≪メキアの鍵であるファが取り込まれた今、メキアのエネルギー障壁は変質し、もう一つの鍵以外は、内部への侵入は不可能となってしまった・・・≫

“マミ”は察したのです。“ファ”を助ける為にメキアの内部に侵入できるのは、自分だけだと。
「私は、行くわ!彼女が待っているから・・・」
彼女の固い決意に頷くアルヴィス。
その時、エクストリマーの周囲が、光の柱に包まれ、動きが止まります。

≪メキアが直接、地球への路を開いたようだ・・・あと数時間で完全にエクストリマーは取り込まれてしまい、一つ目の鍵が解除されてしまう≫

光の柱は、巨大化し続けていました。

≪あの光の柱に突入の為の穴を開ける必要がある。そのためには、防衛軍の長距離砲が必要だ≫

ジュダの指摘に、一度4S隊に戻り、作戦を練り直そうと考える“マミ”隊員でした。


臨時の防衛軍施設で、4S隊は、対エクストリマー迎撃作戦の検討中でした。
アマティ隊の活動停止処分が行われ、4S隊が遊撃隊任務に再任官されたのです。
だが、牙獣とは比較にならない超人戦士の攻撃に苦戦を強いられていました。
そこに戻ってきた“マミ”隊員の姿に、無事を喜ぶ4S隊員達。
“ムロイ”隊員の殉職、“ファ”隊員は、行方不明の状況に、重い空気に包まれていた隊への朗報でした。
すぐにも対エクストリマーの案として、メキア内部への突入を進言する“マミ”隊員。
エクストリマーをメキアから解放するには、その方法しかないと!
しかし“ナガイ”副隊長が、彼女に質問をします。“何故君で無いといけないのか?”と・・・
答えに窮する“マミ”。
その姿を見ながら、“フジ”監理官が説明するのでした。
「昔、私が所属していた科学特捜隊の仲間が、ウルトラマンに命を救われたわ。そして最後の時も同じ様に、自分の命と引き換えに彼を救おうとした・・・」
監理官の話に、驚きを隠せない4S隊員たち。
「マミ、貴方も自分を犠牲にしても、助けに行くのね」
思わず、監理官を見つめる“マミ”隊員。
「監理官・・・」
“モリオ”隊長が、“マミ”に向かって語りかけます。
「マミ、ファを助けに行って来い。ムロイを失った悲しみから救ってやってくれ」
その言葉に、4S隊全員が気づきました。
“マミ”と“ファ”がウルトラマンだという事実に・・・
監理官は“マミ”隊員を見つめ返すと、4S隊全員に命令を伝達するのです。
「我が4S隊は、ウルトラマンアルヴィスのメキア突入を援護し、エクストリマーの動きを封じます」
その命令に、各隊員は、出撃の準備を開始するのでした。

“フジ”監理官は、“マミ”隊員を別室に招くと、そこに“ユウコ”隊員の姿がありました。
「ユウコさん」 「マミさん・・・」
今までの禍根を忘れさせるような“ユウコ”隊員の笑顔に、“マミ”の心も和らぎます。
「私が、ここに連れてきたの」
“フジ”監理官は、“ユウコ”隊員が、直接彼女を訪ねて来て詳細を語ってくれた事、協力をしたいとの申し出をしてきた事を“マミ”に話すのでした。
過去を悔いる“ユウコ”の姿に、“マミ”も彼女の申し出をうけるのでした。
互いの目的は同じなのに、誤解から違う道を歩いてきた二人の戦士と共生体。
今はじめて、志を一つにし、メセドメキアの撃滅と“ファ”の救出に向おうとしていたのです。
「ジンの動きが気になるわ。彼も行方不明だけど、何処かにいるはず。注意しなくては・・・」
二人は、思いを語り、必ず皆を救う事を誓い合ったのです。

出撃任務が整い、SSS号が飛び立ってゆきます。
宇宙では、サブリナス基地の長距離砲が、光の柱に照準しており、発動を待っていました。
「ここが踏ん張りどころよ。地球、いえ、全宇宙の為に死力をつくしましょう!」
“フジ”監理官の号令で、防衛軍のすべてが動き出しました。
アルヴィスの光の柱への突入を支援する為に、援護攻撃を行なう防衛軍。
その時でした。
光の柱が輝きだすと、全地球を覆いつくし、光の中に包み込んでゆきます。
その光が消えた時、地上と宇宙では、恐ろしい現象が始まったのでした。
以前から大量に発射されていた重粒子ミサイルの影響を受けていた人類に光の遺伝子が作用し、人間を次々と牙獣化していったのです。
防衛軍の兵士が、同僚が、避難民が、あらゆる遺伝子保有者が、牙獣に変化してゆきます。
牙獣に変化した人々は、防衛軍に襲い掛かってゆきます。

サブリナス基地内でも状況は同じでした。
突如として変化してゆく同僚や仲間達に倒されてゆく、隊員達。
司令室内部にも変化途中の人間達が襲い掛かってきていました。
「ダイスケ君、そっちはどう?大丈夫?」
いつも通りの声に、苦笑を感じ得ない“アラシ”参謀。
「ああ、しばらくは持ちこたえられる。しかし早めにお願いしたいな・・・」
主砲発射センターで指揮を執る“フジ”監理官も同じ状況でした。
基地内の牙獣が、装甲扉を破ろうとしていたのです。
発射まで15秒のカウントが始まった瞬間、通信機から“アラシ”参謀の最後の言葉が響き渡ります。
「すまん、後は頼んだぞ!ガン・ガン・グワ〜ン!!」 「ダイスケ君!ダイスケ君!!」
通信機から流れてくる音は、牙獣に虐殺されてゆく人間達の悲鳴と怒号が聞こえるだけとなっていました。
「監理官!基地の姿勢が変化してゆきます!これでは射線が維持できません!」
牙獣はサブリナス基地の制御系の一部を乗っ取り、攻撃を回避しようとしていたのです。
「主砲臨界点突破!トリガー限界まで10秒!」
臨界点を突破した主砲のエネルギーは、トリガー壁を解放しないと逆流を起こし、大爆発を引き起こす危険性がありました。
誰もが作戦の失敗を悟った時、基地の姿勢が持ち直し、射線が維持されたのです。
ウルトラマンジュダが基地を支えて、射線を確保していました。
「今よ!発射!!」
監理官の叫びと共に発射される主砲。
主砲は、光の柱に命中し、バリアーの一部が破損し、崩壊してゆきます。
「後は、後は頼みますよ・・・マミ、ユウコ・・・」
牙獣に食い破られ、崩壊してゆくサブリナス基地は、大気圏高度を維持できず、落下崩壊してゆくのでした。
ウルトラマンジュダの力を持ってもそれを食い止める事ができません。
「まだ、まだ終ってはいないわ。彼女達が戻ってくる場所を私達が、守らなくちゃ!」
その“ユウコ”の思いを受けて、ジュダは、地上へと向うのでした・・・
【第52話/完】




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