火を吹きながら落下してゆくサブリナス基地を見つめる4S隊。 「監理官!」 「くそう!」 悲しむ彼らを“モリオ”隊長が叱咤します。 「まだ、まだだ。監理官の意志を無駄にするつもりか!マミ行け。後のことは任せろ!」 躊躇する“マミ”を機外に追い出し、崩壊しつつある光の柱へと向わせます。 「必ず、ファを連れ戻せ。頼んだぞ!」 SSS号からダイブしてアルヴィスに変身する“マミ”。 アルヴィスは、光の柱に突入し、光の潮流に身を沈めていったのでした。 光の柱の崩壊で、再生までの時間を稼ぐ為か、牙獣が集結しつつありました。 混乱する防衛軍を指揮し、牙獣を攻撃し続ける4S隊。 しかし、あまりにも多数の牙獣に、光の柱の死守が危うくなりかけていました。 「ここを奪われると、アルヴィスが戻れなくなる。絶対に死守するんだ!」 “モリオ”隊長の激に奮戦する防衛軍。 そこに現れるウルトラマンジュダ。 新たな超人戦士を、メキアの援護者と感じた4S隊は、恐れるのでしたが、ジュダは襲い掛かってきた牙獣を叩きのめしてゆきます。 ジュダの変化を感じ取った“モリオ”隊長は、全軍をジュダ中心に編成し直し、牙獣に抵抗するのでした。 光の潮流を彷徨うアルヴィスに、エクストリマーが襲い掛かってきます。 攻撃をかわしながら、アルヴィスと“マミ”は、あるものを探していました。 それは、“ファ”の取り込まれた意識体です。 潮流の正体は、メキアに取り込まれたウルトラ族の意識の混在だったのです。 そこから“ファ”の意識を抜き出し、この潮流から取り出せれば、エクストリマーとメキアとの連結が絶てるはずでした。 しかし無数の悪意から、“ファ”の意識を探すのは、至難の事だったのです。 ≪エクストリマーは、私が防ぐ、君は、ファの意識を探して欲しい!≫ アルヴィスとエクストリマーは潮流の中で激闘します。 その戦いの中、“マミ”は“ファ”の意識を捜し求めます。 どのくらいの時間が経ったか、潮流の中に輝くものを感じた“マミ”。 それは、“ファ”でした。 彼女は、ついに“ファ”の存在を見つけたのです。 彼女を思う心が、“マミ”に奇跡を呼び込んだのでした。 「アルヴィス! ファを見つけたわ!これから彼女を取り戻すわ。それまで頑張って!!」 戦いながら“ファ”と接触する“マミ”は、彼女の意識を探り出そうとするのでした。 「ファ!聞こえる?目覚めて頂戴!」 “マミ”の声に徐々に覚睡してゆく“ファ” 「これは、夢かしら。彼が私を庇って、それで私は・・・」 「ファ、それは夢ではないわ。哀しいけど事実なの」 「ああ・・・ムロイ。彼が死んだのは、私の為。私が彼を殺したの!」 “ファ”の気持ちは痛いように“マミ”にも伝わります。 しかし、悲しみのあまりに自暴自棄になってしまった“ファ”をそのままにしてはおけません。 「貴方が殺したわけじゃない。彼は、貴方を救おうとして、命を落としたの。ならその命は、メキアに捧げる為のものなの?」 「その命、そんな事の為にムロイが助けたわけじゃない!」 “ファ”を奮い立たせるために、“マミ”の語気は強まります。 「ムロイ・・・ごめんね、ごめんね・・・」 “ファ”の自意識が覚睡し始めると、エクストリマーの動きが止まりかけるのでした。 ≪いいぞ、マミ。もう少しで、彼女を助けだせる・・・≫ アルヴィスが、そう叫んだ瞬間、マキシマの姿が現れるのでした。 ≪マキシマ!・・・ジン!!≫ 「今更遅いさ、これでメキアは解放される。その力を得て私も強くなれるのさ」 「ジン!!」 自我を取り戻した“ファ”は、エクストリマーの力で、マキシマに攻撃を仕掛けようとします。 しかしパワー不足は否めません。 メキアの潮流では、マキシマの力は倍化していたからです。 簡単に攻撃をかわされ、マキシマに捕獲されるエクストリマー。 「ファ、お前の命、メキアに捧げてもらおう!」 手刀をエクストリマーに突き刺し、“ファ”の意識を再度メキアに取り込ませようとするマキシマ 「きゃー!!」 串刺しにされたエクストリマーに反応し、“ファ”の意識体も消えかかろうとします。 「ジン!!貴方って人は!!」 “マミ”の怒りは爆発寸前でした。 彼女もメキアの望むとおり自我を失いかけていたのです。 ≪マミ!≫ アルヴィスの叫びも空しく、“マミ”の意識もメキアに取り込まれてゆきます。 「ついに、ついに鍵が開くぞ!メキアが解放されるのだ!!」 突然、潮流の中心部が輝きだし、無数の触手がマキシマを貫きます。 ![]() ≪我が僕よ、我はついに放たれた・・・私の一部でありし者よ、私の元に戻るべし≫ メキアの意識が、直接頭の中に語りかけてきます。 触手が放電し、マキシマを徐々に取り込んでゆくその様子は、ウルトラの一族が取り込まれていった姿そのものでした。 「何故・・・私は、貴方の為に・・・」 “ジン”の断末魔の叫びを無視し、メキアはマキシマを完全に吸収してしまいました。 吹き飛ばされたエクストリマーとアルヴィス。 “マミ”の自我を吸収されかけ、力を失いかけたアルヴィスに、“ファ”は最後のチャンスを賭けます。 「アルヴィス、私の最後の命を貴方に捧げます。メキアを必ず封印して!そしてマミをお願いします」 “ファ”は、エクストリマーのカラータイマーを、自分で引きちぎるとアルヴィスの眉間部分に翳します。 自分の命を彼女に、アルヴィスに渡そうとする“ファ” 「ありがとうね、マミ。ありがとう・・・」 エクストリマーの目の輝きが消えると同時に、アルヴィスの輝きが戻ってゆきます。 意識が戻った“マミ”の目に、動かなくなったエクストリマーの姿が映ります。 すべてを悟った“マミ”は絶叫するのでした。 「ファーーーー!!」 一方地球上では、ジュダの奮戦が続いていました。 倒した牙獣の数は、数十体。 しかし、ジュダも無傷ではありませんでした。 すでに角は折れ、片腕が蝕まれていましたが、アルヴィスが戻るまで、“マミ”と“ファ”達の戻る場所を確保する為、そこを死守していたのです。 一斉に2体の牙獣に攻撃されたジュダは、一体の牙獣の攻撃が避けきれず、光弾を受け倒れてしまいます。 その姿を見て、牙獣が二度目の光弾を発射しようとした瞬間、その射線上にSSS号を滑り込ませる“モリオ”隊長。 SSS号は光弾を受け、火を吹きます。 「全員脱出せよ!」 “モリオ”隊長の指示で、緊急発艦するジェットビートル。 しかしJVの中に“モリオ”隊長はいませんでした。最後まで牙獣を牽制し、SSS号から退避する部下とジュダを守ろうとする“モリオ”隊長。 「すまん、ナガイ・・・後は頼んだぞ!」 「隊長!!」 SSS号は、光弾を発射する牙獣の頭部に特攻し、牙獣を爆砕するのでした。 「隊長!!くそう!!」 “モリオ”隊長の犠牲で、一時的に窮地を脱した、4S隊とウルトラマンジュダ。 しかし、未だ多くの牙獣が、彼らを取り囲んでいたのでした・・・。 【第53話/完】 |