最終話

牙獣軍団
ウルトラマンジュダ
ウルトラマンエクストリマー
根源的悪意超生命体メセドメキア
根源的悪意超生命究極超人メキアトリマー
登 場


爆発し墜落してゆくSSS号の姿に、涙する4S隊員達。
しかし戦いは終ってはいません。
彼らの悲しみに関係なく、牙獣の群れは、光の柱を目指し集まってきます。
そこにいるジュダと4S隊を排除する為に・・・
すでにジュダも満身創痍で、共生体の“ユウコ”にも影響がでていたのです。

「心配しないで、ジュダ。私はまだ耐えられるわ! ジュダ!次が来るわよ!」
右手から突進してくる牙獣を蹴り上げ、スラッシュで爆砕するジュダ

≪彼らが戻るまでは、私達が・・・≫

その時、光の壁が脈動を始め、二人のウルトラマンが飛び出してくるのでした。
「アルヴィス!マミ!」 「ファ!」 「マミ!」
ついに皆が、待ち望んでいた瞬間でした。
メキアの魔手から“ファ”を救い、無事に戻ってきたアルヴィス、“マミ”の姿に皆は、喜びを表します。
しかし、その喜びもつかの間でした。
迫り来る牙獣から、倒れているアルヴィス、エクストリマーを庇おうとしていたジュダ。
その彼に突然触手が刺さるのでした。
「!」 「なに?!」

触手は胸を貫き、ジュダを絡め取ってゆきます。
ジュダを貫いた触手は、エクストリマーの触手だったのです。
意識を取り戻した“マミ”は、その様子を見て取ると、触手を断ち切り、ジュダを庇います。
「ユウコさん、駄目だった・・・ファは、私達を助ける為に犠牲になったの・・・」
エクストリマーの後頭部が変化し、顔が生み出されてきます。
そこに浮かぶのは、メセドメキアの顔でした。
全員が悟ったのです、メセドメキアが完全に復活したのだと・・・
「マミ、貴方は頑張ったわ。貴方の中にファの心が感じられる・・・」
復活したメセドメキアの周りに、牙獣が集結し、メキアは牙獣を取り込んでゆきます。

≪メキアは牙獣を吸収し、力を増大させ、すべてを飲み込むつもりだ。そして最後は、銀河を食い尽くすだろう・・・≫

ジュダは、“ユウコ”に語りかけます。

≪もういいだろう・・・ユウコ。後は彼らに任せよう・・・≫ ジュダの気持ちを悟った彼女は、無言で頷くのでした。
いきなりジュダは、カラータイマーを引きちぎると、それをアルヴィスの額へ翳します。

≪メキアの幻覚と戯言に耳を貸すな。本質は別にある・・・≫

淡い光と共に取り込まれてゆく、ジュダのタイマー。
「マミ・・・貴方と共に・・・私も・・・後はお願い・・勝ってね・・・」
“ユウコ”の最後の言葉と共に、ジュダの体は消え去ってゆくのでした。

≪彼らの意志は、私達の心で生きている・・・マミ、メキアを必ず倒すぞ!≫

アルヴィスの言葉に奮い立ち、メキアへと向う“マミ”


次々と牙獣を吸収していたメセドメキアは、数倍の大きさに巨大化していました。
触手も無数に増えており、防衛軍の攻撃も遮られ、効果がありません。

≪我は、宇宙を救うものなり。邪悪なる心を取り込み、我が糧となり、我と共に戦わん!≫

メキアの意思が、すべての人々に伝わります。
特にその畏怖すべき姿と、驚異的な力の前に、その言葉を聞いた人々は、頭を垂れ、恭順しそうになるのでした。
だが、それを由としない人間達もいました。
仲間を失い、抵抗を続けている防衛軍や4S隊の人々。
「奴の戯言に付き合う必要は無い!」 「ああ、同僚を失った悲しみ、忘れはしない」
果敢に抵抗する防衛軍兵士たち。
「必ず、私達のウルトラマンが、奴を倒してくれるはず!」 「ええ、皆、頑張って!」
メキアの触手を叩き落しながら、本体に辿り着こうとするアルヴィスに、牙獣が邪魔をします。
そんな様子を見ていた4S隊は、牙獣を攻撃し牽制します。
しかし、JVの火力では援護の効果が乏しく、隊員達は悔しい思いをしていました。
アルヴィスに取り付く牙獣の群れに、上空を旋回するしかない4S隊。
「くそう!俺達には、何の力も無いのか・・・」 その“ナガイ”副隊長の呟きに呼応するように通信機から声が聞こえてきたのです。

「こちら地球防衛軍執政官“ハヤタ”。メセドメキア攻撃に参加する!」
サブリナス基地の墜落と共に、執政官の下、再編制された地球軍が、奮闘する4S隊と極東防衛軍の援軍に来たのです。
執政官と防衛軍の援軍に喜びを表す4S隊員達。
「4S隊はメセドメキアを攻撃、アルヴィスを援護せよ。牙獣は、我々が阻止する!」
執政官の命令後に、通信機から、懐かしい声が次々と聞こえてきます。
「こちら戦略軍、指揮官“T・美希”中佐、同じく参戦する」
「同じく、副官“ケイタ”ご同行します!」
「こちらアバン宇宙軍、防衛軍を援護します」 「モンスク宇宙軍、アルヴィスの援護を!」
「ドウナ解放軍、メイヤー参戦します!」 「イムチェリー艦隊カーラ、今より牙獣に攻撃を開始する!」
「フリス防衛軍、攻撃を開始します!」 「我々・・・」
通信機から聞こえてくる声は、メキアとの戦いで共に戦った仲間達の声でした。
地球で起きている異常事態を察知して、地球軍に合流する為、ある者は命令を無視し独断で、ある者は無理やり、出撃してきたのです。

JVから見えるすべての空域に無数の味方が下りてきて、牙獣を攻撃し、アルヴィスを援護している姿が見えるのでした。
「皆!ありがとう!」 思わず感謝の気持ちを口にする“リョウコ”隊員。その他の隊員達も同じ気持ちでした。
各部隊は、連携しつつ、牙獣を駆逐してゆきます。
数には数で対抗すべく、乱舞する牙獣と戦闘艇の姿が、そこにはありました。

邪魔な牙獣達を、味方が牽制してくれた為、メキアへ取り付く事ができたアルヴィス。
メキアの触手を振り切り、アルヴィスエッジを叩きつけます。
ついで、フラッシュリング、ジャストフラッシュと連続技を繰り出します。
打撃に怯むメセドメキア。

≪何故拒む?何故従わぬ?怒りの気持ち、妬み、嫉妬、悪意、負の意識を捨て去れば、良き世界が・・・≫

「人は、負の意識を自分の意志で、抑えるもの。決して、人任せにしては、いけない事」
「そして、それを失えば人とは言えないわ!人間は不完全だからこそ強く生きようとするの!そして、皆の力で、それは克服してゆくものなの」
“マミ”の言葉をメキアは、理解できないでいました。

≪誰もが傷つかない、誰もが安寧な世界を望むのではないのか?≫

「ええ、望んでいるわ。でもそれは、自分達の力で成し遂げる必要があるの!」
アルヴィスの攻撃を触手で封じるメキア。

≪ならば何故我を作ったのだ?何故、我が此処にいるのだ?何故、我を利用しようとしたのだ?≫

「それは・・・」

≪アルヴィスとマミよ。ならば貴様達に機会を与えよう。その負の意識を自分達で克服してみせよ!≫

メセドメキアは輝きを増すと、自分の体を変化させてゆきます。
数倍にも達する巨大な姿は、畏怖する姿へと変化したのです。メキアトリマーとも言うべき最終形態へと、変貌したのです。


「メキア!いったい何をするつもり・・・」 “マミ”が言いかけた瞬間、メキアトリマーから放射されるシュイリング。

≪マミ!皆を下げさせろ!≫

しかしアルヴィスのアドバイスも役に立ちませんでした。
急激に広がったシュイリングは、牙獣も防衛軍も、あらゆるものを破壊しながら半球状に広がってゆきます。
「退避!」 「さがれ!すべてを捨ててさがれ!」
約半数の敵味方が、シュイリングの威力に食われました。

≪これで、半分・・・≫

メキアは、そう言い放つと触手を伸ばし、手当たり次第に戦闘艇、牙獣を串刺しにするのです。

≪君の大事な仲間達の死、ジュダもユウコもファも君達を守る為に犠牲になった・・・≫
≪こんな風に≫

鋭く延びた触手はJV機を貫き、一瞬のうちに吹き飛ばします。
「皆!」 一瞬の攻撃で全員を殺害したメキアは、次々と“マミ”の心を翻弄するように仲間を殺してゆくのです。

≪負の意識を克服してみせろ。自分が正しいと思っている未熟な生命体よ!≫

挑発するメキアに“マミ”は、怒りに任せた攻撃を繰り返します。

≪そうだ、それこそ自然の姿なのだ。殺された恨み、憎しみを正直に出せば、その気持ちが晴れる、だからこそ人は、負の意識に身を任せようとする≫

メキアの意図を感じ取った美希中佐は、メキア本体への攻撃を全軍に伝えるのでした。
“マミ”を取り込まれてはいけない。全員は果敢にメキアへの攻撃を開始します。
「マミしっかりして!」 「メキアに負けるな!」

≪マミ!怒りに身を任せるな。メキアに取り込まれるぞ!≫

アルヴィスの警告に、“マミ”も理性を取り戻そうとしていました。
しかし、惨劇の繰り返しに、感情の高ぶりが抑えきれないのです。
攻撃をしかける防衛軍、宇宙軍をなぎ払い、咆哮するメセドメキア。
その時、“マミ”は、思い出したのでした。

ジュダの最後の言葉を・・・ “メキアの幻覚と戯言に耳を貸すな。本質は別にある”・・・

何故、牙獣達は、光の柱を奪還しようとしたのか?
何故、メキアトリマーは、この場所から離れないのか?

「アルヴィス!目の前のメセドメキアは、本物じゃない!本当の敵は・・・」

振り向きざまに、光の柱を攻撃するアルヴィス。
「まだ、メキアは解放されていなかったのよ。私達を絶望させ、取り込み、鍵を得ようとしていただけだったのよ!」
崩れる光の柱と共に動きが抑制され、苦しむメセドメキア。

≪や・め・ろ・・・≫

メキアトリマーの触手がアルヴィスに絡みつき、拘束しようとしますが、連合軍の戦闘艇が、次々と体当たりをしてアルヴィスを助けようとします。

≪貴様達・・・、無駄な事を・・・≫


“ハヤタ”執政官は、旗艦で戦闘を指揮しながら、アルヴィスとメキアの戦いを見つめて思うのでした。
「人は、可能性を信じ、人に希望を託す事で、自分の身を犠牲にすることができるのだ!それは、あの時も同じだったはず・・・」
「ウルトラマン・・・君も同様に苦しんでいたのか・・・」
メキアトリマーの触手は、旗艦をも捉え、艦を粉砕しようとします。
「人は、信じる事ができるはず・・・頼んだぞ!アルヴィス!」
全装備を解放し、メキアトリマーに近接攻撃をしかける旗艦、その艦を触手が粉砕してゆきます。
しかし、旗艦から投射された兵器群は、メキアトリマーに強大な打撃力となり、中心部に大きな被害を発生させるのです。

倒れるこむメキアトリマー。

≪お前達のような弱い・・・弱い存在に・・・≫

突然、光の柱が輝きだし、徐々に振動が大きくなってゆきます。

≪まずい!メキアは、自分を崩壊させるつもりだ。≫
≪光の柱に蓄積されたエネルギーを一気に解放して、すべてを消し去るつもりだ!≫

アルヴィスの助言で、皆が逃げ出すまでシュイリングで防御しようとする“マミ”。
輝きが増し、光の波動が流れ出します!
≪アルヴィス!皆を!・・・皆を守って!!≫>>>>>>>>>>>

地球上で光が走り、地軸を裂くように光の輪がひろがってゆきます。
輝きは、徐々に広がり、月を・・・惑星を・・・太陽を飲み込んでゆきます。
ついには太陽系をも飲み込む“光”
光の広がりは止まる事がありませんでした・・・・・・・・・・・・・・
深淵の世界に横たわるウルトラマンアルヴィス・・・

静寂と安らぎが感じられるこの世界に戸惑いを覚えるアルヴィス。

彼の一部である“マミ”も覚睡し、心配そうに問いかけます・・・

「アルヴィス・・・私達は・・・皆は?どうなったの?」

≪私には感じられない、君の仲間の存在もメキアの存在もだ・・・≫

この世界には二人しかいないようでした。

「アルヴィス・・・私達は、皆を救えたのでしょうか?」

“マミ”の質問にアルヴィスが答えようとした瞬間、直接に二人の心に語りかける存在があったのです。

「!」 ≪!?≫

淡い光が凝集するとそこには、“マミ”が見たことの無い超人戦士の姿があります。



≪・・・ウルトラマンキング・・・≫

「キング・・・?」 アルヴィスが口にしたその名前を復唱してしまう“マミ”。

ウルトラマンキングと呼ばれる超人は、マントを広げるとメキアを破壊した後の状況を映しだすのです。

≪お前達のおかげで、我らウルトラの一族は、メキアの呪縛から解放された。一族を代表して感謝する≫

≪メキアは完全に破壊され、二度とその機能が復活する事はないであろう≫

≪しかし、メキアの破壊で、全宇宙のバランスが崩れ、すべての世界は空虚の世界となってしまった≫

メキアの爆発は、太陽系惑星の連鎖爆発を発生させ、順に銀河を破壊してゆく姿をマントに映し出します。

≪残念ながら、君達の仲間も、この爆発に巻き込まれ、死は免れなかった・・・≫

“マミ”の目に涙が浮かびます。

共に戦った仲間達の姿が、記憶に甦ります。

「ファ・・ユウコさん・・・皆んな・・・」

そんな“マミ”を慰めるように手を添えるアルヴィス。

≪キング・・・私は、自分達の未熟さを彼らの手助けで、支えてもらいました。しかし、その結果が・・・≫
≪結果が、これでは哀しすぎます・・・≫

悔しい思いを叩きつけるアルヴィスに、ウルトラマンキングは、優しく語り掛けます。

≪そう、開放されたウルトラの意思も、こんな結果は望んでいない≫

≪我々の残された仕事をしたいと思うが、お前も手伝ってくれるだろうか?≫

ウルトラマンキングの申し出に、頷くアルヴィス。

≪お前の共生者と多くの仲間達の為に、我々の力を使い、時間と時空をゆがめてみたいと思う≫

キングは、ウルトラの意思のエネルギーで、新たな時間軸を作り出そうと言うのです。

新たな時間軸には、メセドメキアの存在しない世界を作り出す事が可能でした。

しかしその改変で、全く異なった世界が作り出されてしまう・・・。

すべての記憶が、封印された世界・・・

そして、すべてを忘れた世界・・・

果たしてそんな世界は、今の世界を守ろうとして倒れていった皆に、喜んでもらえるのだろうか?

「アルヴィス・・・私は思うの。皆が命を賭けて守ろうとしたものは、こんな虚無の世界じゃなかったと思うの」

「ファやユウコさん、モリオ隊長やフジ監理官・・・皆の気持ちは、自分が犠牲になることで、皆を幸せにしたいという思いだったと・・・」

思い浮かべる仲間達との日々に、思わず涙する“マミ”

「だからこそ、彼らの望みが叶えられるなら、叶えてあげたいと思うの」

“マミ”の願いにアルヴィスも頷き返します。

≪そうだね。自分達を犠牲にし、他の皆の幸せを願った彼らに、もう一度機会をあげたい≫

“マミ”とアルヴィスの願いを聞き届けたキングは、もう一つ注意を繰り返します。

≪時間軸の再編で、メキアの意思を完全に消し去る事はできないだろう。必ずその宇宙に悪意の根源として存在し、君達に害をなすだろう・・・≫

哀しい事実に、キングは声をおとします。

≪その禍根は、私達が命をかけて防ぎましょう。それが我々ウルトラの一族に科せられた使命として・・・≫

アルヴィスの決意は、メキアから解放されたウルトラの意志でもありました。

≪そうだな・・・それが我々の運命なのかもしれぬな・・・≫

キングは、両手を広げると、ウルトラ族の力を借りて、時間軸を変化させてゆきます。

“マミ”の目には、次々と仲間達の姿が映っていました・・・

“ファ”との別れ・・・

“ユウコ”の死・・・・

仲間達の犠牲・・・・・

そして彼等との素晴らしい出会いの日々・・・・

虚無の世界から、最後に見た星々が輝く銀河の世界が、周りに広がってゆきます。

眼下に見える青い地球。

≪お別れだ、マミ≫

アルヴィスの言葉に思わず、彼を見返す“マミ”。

「ええ、これでお別れね」

≪この世界で君は、別の世界の記憶を持った存在として、独りで生きてゆく事になるだろう≫

この世界では、“マミ”の存在は、誰も知らないのです。

以前の仲間達が、近くを通っても気づかない、そんな世界に“マミ”を独り残して置くのが忍びないアルヴィスだったのです。

「心配しないで、アルヴィス。私は、皆に勇気をもらったんだもの。独りでも生きてゆけるわ」

頷くアルヴィス。

「また、逢えるかしら?」

≪ああ、またいつの日にか。私の心は、いつも君と共にある≫

笑顔で見つめる“マミ”

「ええ、知っているわ。もし向こうで、ファに出会ったら、見守ってあげて・・・・・・・・・・・・・・
その瞬間、空間が歪み、地球上に降ろされた“マミ”。
意識を取り戻した彼女のいた場所は、富士山麓。
彼女の服装は、地球防衛軍の士官服姿でした。
そこに防衛軍のジープが走りよってきます。
“マミ”の前に急停車すると、隊員の一人が立ち上がり、敬礼をかえします。
「ショウ・マミ少尉でしょうか?」
見覚えのある顔、“オジカ”にそっくりな彼に敬礼を返す“マミ”。
「ウルトラ警備隊に着任しました、マミ少尉です!」

新たな物語が、今始まろうとしていました・・・・



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