第7話

地底怪獣グワバランガ
登 場




メガシティの建設現場では、次世代の首都機能移転の為に急ピッチで作業が続けられていました。
工事は早い速度で進み、全ての工事が完了するのも近いと思われていました。
しかし、工事中に突如として地震に襲われます。
地震の規模はM8を超え、建設中の建物を破壊してゆきます。
一夜明けた現場は、壊滅状態に陥っていたのでした。

地震はメガシティに限局して発生しており、通常の地震とは異なる事から、科学警察機構が調査を行うことになりました。
科学警察機構は、現場の深部に異状物体を発見し、その調査の為に4S隊の出撃を要請します。
4S隊は、SJVに地中探査用のモビルタンク(MT)を搭載し、現場に向かいます。
MTは、地中進行用に超音波破断装置を搭載しており、前面の吸入口から破断した土砂を後方に噴出しながら地中を移動できる能力があるのです。
地中深く潜航したMTは、地中に潜む地底怪獣“グワバランガ”を発見します。
グワバランガは、工事の削岩装置が巣を破壊した為に怒り、超音波を発生させ、人工地震を起こしたのでした。

メガシティの建設現場を怪獣攻撃で破壊する事は出来ない為、グワバランガを現場より移動させる計画となります。
4S隊はMTにグワバランガの卵を捕獲させ、それを追ってくる習性を利用して、現場からグワバランガを移動させようとしたのです。

作戦は開始されました。
卵の捕獲に成功したMTは、グワバランガに気づかれぬように移動していきます。
ところが、焦った防衛軍の指揮官がグワバランガを攻撃してしまいます。
その攻撃に怒ったグワバランガは、地上に飛び出し、防衛軍と交戦状態になります。
「作戦は、失敗。卵は此処に投棄して、防衛軍を援護する!」
“モリオ”隊長の指示で、MTは地上へ転進し、防衛軍と共にグワバランガに攻撃を開始したのです。

グワバランガの超音波攻撃は防衛軍の戦力を粉砕し、MTをも損傷させ行動不能に陥れます。
MTから脱出する4S隊隊員達。
「各人は、安全地帯まで退避。急げ!」
怪獣に応戦しながら退避行動をとる4S隊隊員達、その中から独り別行動を取る“マミ”隊員。
彼女は、イヤリングの力を解放すると、ウルトラマンアルヴィスに変身します。

ウルトラマンアルヴィスは、グワバランガの行き脚を止める為に格闘戦をしかけます。
本来おとなしいグワバランガが凶暴化したのは、巣穴を守ろうとしたからでした。
その事を理解していた“マミ”は、アルヴィスの力でグワバランガをおとなしくさせ、地中へ帰らせようとしました。
その戦いの中、退避する4S隊、防衛軍の車列にグワバランガが倒れこんでしまうのです。
大混乱に陥る部隊。
その中に4S隊の“ナガイ”隊員がいました。
彼は、転倒した車に挟まれ、足に怪我を負ってしまいます。
そこに迫るグワバランガ。
間に入るウルトラマンアルヴィスも、怒り狂ったグワバランガの突進を防ぎきれず、押されていきます。

その時でした。
謎の光がアルヴィスに達すると、体に銀のラインが生み出されてゆきます。
体表の銀ライン・・・それは、二つの意志の表れでした。
さらにアルヴィスの目が赤く輝くと、“マミ”の意に反して、グワバランガを倒そうとします。

《どうしたの?アルヴィス?何が一体貴方に?》

“マミ”の問いかけに、アルヴィスが答えます。

【マミ、新たな力が我と同化した・・・マミ、意思を強く!】

アルヴィスは、“マミ”でなく、新たな共生体に意思の支配を受けているようでした。

《どういう意味?アルヴィス、大丈夫??》

その問いかけに、別な声が応えます。

≪マミ、貴方は甘いわ。その甘さが、危機を呼び込んだの。私が彼と戦うわ!貴方はおとなしくしてちょうだい!!≫

聞き覚えのある声でした。

《ファ?・・ファなの? 何故? どうして貴方が・・・》

その声を無視して事態は進みます。
アルヴィスは、デットショットでグワバランガを爆砕したのでした。

≪守りたいものがある時に躊躇は許されない。敵は如何なる理由があろうと粉砕すべきもの。マミ、貴方は甘い!≫

《ウソ・・・何故??》

“マミ”の心は混乱と後悔で張り裂けんばかりでした。
光が、アルヴェスから消え去っても、体のラインは消えません。
“ファ”の意志が、アルヴィスに溶け込んでいる証拠でした。

【ファが、介入するとは・・・マミ!心を強く持つのだ。彼女に負ければ、私の意志を彼女が虜にしてしまうぞ】

アルヴィスは、そう言い残すと、“マミ”隊員を分離し、地上に戻します。


アルヴィスに救われた“ムロイ”隊員は、無事に救出され、本部の病室へ移されます。
病室では、4S隊と監理官、そして“ファ”の姿もありました。
無事を喜ぶ皆の中で、“マミ”へ“ファ”が直接意識へ語りかけます。

≪マミ、貴女のアルヴィスへの慢心が、ムロイの怪我の原因よ。脅威は排除しなければならないの≫

《そんな、全てが敵だなんて・・・・》

“マミ”の苦悩する姿にちらりと目をやりながら、傍を通り過ぎてゆく“ファ”。
その左の耳に“マミ”と同じイヤリングが・・・。

ウルトラマンアルヴィスと共生できる人間が、この地球上で二人存在する事になったのです。
二人の存在は、アルヴィスにどのような変化をもたらすのか。
(各々の自室にて)
“マミ”と“ファ”のイヤリングは何も答えず、光り輝いていました。



〔伽羅さんからのメールより〕

アルヴィスは、人間との共生体となる事でお互いを尊重し合い、助け合う事で、目的を果そうとしてきました。
“マミ”の《全ての生き物と平和を守りたい》と、アルヴィスの《宇宙の秩序を守る》
この意思は、活動の根幹となるはずでした。
今回、“ファ”は、アルヴィスに同化できる二人目の共生体として登場します。
彼女の過去は未定ですが、《明らかな脅威は排除する》が意思としてアルヴィスに働きます。
この為、アルヴィスは“ファ”の意思を受け入れた時、戦士としてパワーUPするのです。
《宇宙の秩序を守る為に明らかな脅威は排除する》これが意思となります。
しかし“マミ”を受入れるアルヴィスでは、全てを力だけで解決しようとはしません。
《宇宙の秩序は、互いの信頼であり、相手を受入れる勇気である》これが意思となるのです。
アルヴィス自身は、人類を導く神の存在として地球に飛来したわけではありません。
彼の目的は、宇宙の秩序を守り、まだ未熟な人類を外的脅威から守る事です。
その為、共生体の意思を取り込む事で、その意思を尊重して行動しようとします。
アルヴィス自身の意思が覆されない限りは・・・。

今は“ファ”の精神力は、“マミ”を凌駕しています。
その為今回は“ファ”の意志が優先され、アルヴィスは行動したのでした。
今後は、二人の意思が、アルヴィスに作用しながら物語が進行する予定です。
二人の相反する意思は、どのような物語を生み出すのか?
それは、私にもまだわかりません・・・・・。
【第7話/完】


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