太陽系内、木星近辺の宙域・・・
永遠に静寂と動くものの無い世界で、突然、光が溢れている場所がありました。
光は、繰り返し輝きを増し、そして消えてゆきます。
その輝きは、何を意味しているのでしょうか?

光は、戦いに生じている、死を生み出す光でした。
その光は、牙獣とウルトラマンアルヴィスから、生み出されていたのです。
宇宙の善意と悪意の象徴である、二つの戦士の戦いは、熾烈を極めています。
しかし、アルヴィスの一撃は、牙獣を沈黙させるには、十分でした。

動きの止まる牙獣。
止めを刺そうと、アルヴィウム光線を発射する寸前、何者かの攻撃が加えられます。
よろけるアルヴィス。

攻撃は、大型の宇宙船から行われました。
その宇宙船には、見覚えがあります。
銀河商人ムルバンガス
以前、地球を混乱に貶めた彼らが、戻ってきたのです。
そう、ウルトラマンアルヴィスと、地球人達に復讐する為に・・・
牙獣は、奴らの手先だったのです。

アルヴィスは、牙獣とムルバンガスの宇宙船の攻撃に翻弄されます。
「ファ!」 「マミ!」 「このままでは、やられてしまうわ」
二人の意思は、危機感を訴えていました。
いくらアルヴィスでも両面攻撃には、対応しきれない・・・
「罠だったのだわ!」
「ええ、木星近辺で輸送艦が消失する事件も、木星ステーションへの研修計画書も!」
その時、ムルバンガスの声が、アルヴィスに届きます。
「そうだ!4S隊に調査させる為に輸送艦を消し去り、お前らをおびき出す為にステーションの研修計画も偽装したのは、我々さ」
自慢する、ムルバンガス
「あの地球で受けた屈辱は、忘れはしない。貴様らのおかげで、艦内は塵だらけに・・・」
「当然の報いでしょう!」 「貴方の為に多くの人々が、苦しんだわ!」
“マミ”、“ファ”の二人の抗議を無視するムルバンガス。
「ぐわははは・・・、お前らには、たっぷりと借りを返す必要がある」
「その為に、時間をかけて計画したのだから・・・お前らへの復讐を」
「銀河商人は、その点は、義理硬いのだよ、ハハハハハ」
ムルバンガスの宇宙船の下腹部が開いて、大口径の機器が用意されます。
「こいつは、時空破砕砲という。古代文明の遺産よ。まだ一度も使った事がないが、お前らを吹き飛ばすには、十分すぎるしろものさ!」

「ムルバンガス!!」
突然、船内に響く声に驚くムルバンガス。
「お前は、いつも前置きが長い。だから作戦が失敗するのだ。もうよい、撃て!」
その声に相槌をうつ様に、もう一人、ムルバンガスに似た異星人の姿がありました。
「狙いはOKだ。いい加減に撃とうぜ!ムルバンガス」

彼(?)の名前は、オルバンカス、ムルバンガスの兄弟分だ。
そして、声の主は・・・
そう、武装銀河商人の元締めバクシェルミト・・・銀河最悪の海賊集団の首領でした。

時空破砕砲の狙いがアルヴィスに定まると、その砲身から強大なエネルギーが噴射されます。
しかし、狙いがはずれ、アルヴィスは辛くも危機を脱します。
その場所には、深く暗黒の異空間が広がっているのが見えるのでした。
「なんなの?あれは・・・」 「宇宙に・・・穴が開いたわ・・・」
一方宇宙船の内部では、砲撃の失敗に大混乱でした。
「この下手糞!」 「なに!元はと言えば、お前の不手際で・・・」 「なんだと!」
オルバンカスとムルバンガスのやり取りに、頭を抱えるバクシェルミト。
「お前ら・・・いい加減におし!もう一度攻撃を!」
バクシェルミトの指示に我に返り、破砕砲の狙いを定めるオルバンカスとムルバンガス。

「マミ、あれが命中したら、空間ごと葬られるわ」
「なら!撃たれる前に!!」
アルヴィスは、破砕砲が発射される瞬間に、自らを空間転位させ、砲身を曲げてしまいます。
その行動が発射動作と重なった為に、エネルギーが逆行した破砕砲は機能を失い、宇宙船本体の融合路にエネルギーを逆流させてしまいます。
「くそう!機械がオーバーヒートしている。融合路が爆発するぞ!!」
「ムルバンガス!オルバンカス!急いでエネルギーを放出しないと・・・」
「姉貴・・・間に合わない・・・」

急激な逆流は融合路を破損させ、宇宙船を暴走させていまいます。
砲荷部分にアルヴィスを引っ掛けたまま、先に切り裂いた時空の穴に、飛び込んでしまうのです。
「く・くそう〜」 「おれたちゃどうなるんだ〜」
時空の穴は、何事も無いように、木星域で、その口を大きく開いたままでした。


地球での小鳥の声・・・
いつもと変わりない地球での早朝の様子が、“マミ”には、感じられます。
目を覚ます“マミ”。
その目の前の情景は、地球の公園でした。そう、アジア最大の基幹都市“東京”の公園のように感じられました。
宇宙パイロットの養成時代に、“マミ”は、この町に住んでいた事があったのです。
しかし、何か雰囲気が違っていました。
隣で意識を取り戻した“ファ”が、“マミ”に問いかけます。
「ここは何処なの?」
その問いかけに、口ごもる“マミ”。
「マミ・・・あなたも知らないの??」
「ええ、私の知っている場所に似ているけど・・・何かが違うの」
「?」
「例えば、この看板やビル、行きかう人の雰囲気がなんだか違うの・・・」
そう、記憶と目の前にある情景の不一致が、“マミ”の感覚に違和感を覚えさせます。

公園を出て、周辺を見て回る二人。
その二人の様子を見て、周りの人々から、奇妙な目で見られている事を感じるのでした。
「マミ・・・なんだか変な感じがしない?」
「そう言えば、さっきから私達をジロジロ眺める人が多いわねぇ」
「そんなに珍しいのかしら?この4S隊の制服が・・・」
ふと、自分達の制服を見る二人。
そんな二人に声を掛ける人物がいました。
「あの〜、イベントの参加者の方ですか?私もファンなんです」
彼の着ているシャツには、“美希太郎”と言う文字がありました。
「マミ・・・何かの勧誘かしら?」 「そうねぇ・・・美希太郎って屋号みたいね、食べ物屋さんかしら?」
ヒソヒソ耳打ちして会話する二人を無視するように、彼はイベントのファンである事を自慢していました。
「なんなのかしら、イベントって?」 「さあ・・・良く判らないわ」
話の内容が理解できない“マミ”は、思い切って尋ねてみました。
「あの〜、何のイベントって?」
男は、気がついたように笑顔で話します。
「ウルトラマンのですよ。それって科学特捜隊の衣装でしょう。いや〜感激だなぁ。まだ会場にも行かないのに、参加者に会えるなんて♪」
“ウルトラマン”の言葉に反応する二人。
「え?」 「はぁ?ウルトラマンのイベント?」
「はい。お二人は、舞台の役者さんなのでしょう。いや〜期待できますな、こんな美人の二人を参加させるとは、今回は期待できる!!」
男は自己満足に浸りながら、二人を置いてイベント会場に向うのでした。
「なんなの?ウルトラマンのイベントって?」 「連合と防衛軍の協同企画かしら・・・」
二人は、同時に言い切ります。「まさか!」

情報を得るために、コンビニで新聞を眺める二人。
やはりここでも彼女らの服装は、注目を浴びずにはいられませんでした。
「ファ!見て、この新聞の日付・・・」
“マミ”の声に振り向き、彼女の指差す部分を読む“ファ”
「平成16年8月×日・・???」
その文字に驚きの声をあげる二人。「なに!?この日付??」
その声に周りのお客も振り向き、ますます注目を浴びてしまう二人でした。

「これって・・・」
「違う世界に飛ばされているみたいね」
「違う世界って・・・ファ?」
“ファ”の推測では、ムルバンガスの使った空間破砕砲は、空間を引き裂くだけでなく、違う次元への通り道を作る機械ではなかったかとの事でした。
だから、あの穴を通って、ここに飛ばされてきたと・・・。
「じゃ、あいつらも?」
「そうね、マミ。近くにいると考えるのが普通ね」
「なんとかしないと、ファ!」
焦る“マミ”を諭しながら、考える“ファ”
「どちらにしてもこのままじゃ拙いわ。服装も目立つし、どこか良い所はないかしら?」
「それならあの新聞に、面白い広告があったわ!」
「ウルトラマンフェスティバル??ああ、さっきの男が言っていたイベントね。でもこの世界にもウルトラマンがいるのかしら?」
「お祭りって言うくらいだから、この服装でも目立たないし、大丈夫じゃない??」
この世界の状況を確認する為にも、また自分達を紛れ込ませる為にも、その場所に行く必要があると感じた“マミ”は、行動を開始するのでした。
「え? ちょっと、マミ、ねぇ待って!」
考える“ファ”を一人置いてきぼりにして・・・。



都市の中央にそびえる高層ビル。
その玄関部分には、超人戦士ウルトラマンの立像がありました。
「あれ・・・ウルトラマン??」 「ふ〜ん、見たこと無いウルトラマンね、ファ」
そのイベントの開場を待つように長蛇の列がありました。
「ウルトラマンフェスティバル会場・・・」
「ここね。・・・子供連れが多いわね。本当にここなの?マミ」
「間違いないって。だって書いてあるし・・・」
突然、彼女らの後ろから声をかける人物がいました。
先程と同じ人かと思った彼女らでしたが、その人物の胸には、フェスティバル関係者のプレートがありました。
「そこのお嬢さん方。」
「えっ?」 「え?」
「私たちの事ですか?」
戸惑う二人を無視して、勝手に事を進める、関係者。
「そうだよ。決まっているじゃないか。今日のアルバイトの娘の代行なのだろう?あそこの会社にしては、手配が早かったな」
「ア・アルバイト??」 「マミ・・・アルバイトって何??」
「さあ、君達は、此処じゃなくて裏から、裏から」
強引に関係者によって入り口から内部に連れ込まれる二人。
その目前にある多数の超人戦士の姿が“ファ”の目に映ります。
未だ、メセドメキアの先兵としてのイメージの抜けきらない超人戦士、ウルトラマン。
彼らは畏怖されるものであり、人々の恐怖の源としての意識が残っていた“ファ”だったのです。
「うゎ!ウルトラマン!」
驚き、恐れる“ファ”を見て、“マミ”は微笑みながら言いました。
「違うわよファ。あれ着グルミよ。中に人が入って演技する等身大の人形劇みたいなものね」
よく見ると、人が中に入って、戦士の衣装を着込んでいるようすが、あちこちで見受けられます。
安心した“ファ”は、興味深く観察し始めるのです。
「へぇ〜、この世界独特なものかしら?」
着ぐるみのジッパーの開け閉めを眺める“ファ”、その彼女に得意げに諭す“マミ”。
「うんうん、私達の世界にもあったわ。見たこと無い?特捜戦隊シャザルーンって、TVでやっていたじゃない」
「ごめんマミ、私見たこと無い・・・」
一瞬気まずい雰囲気が二人の間に流れたのは、気のせいでしょうか・・・・

そこに新たな関係者が、二人に話しかけます。
「ああ、君達」
「私達ですか??」
「そう。これから開場するので、皆さんを所定の場所に誘導してくださいね。科学特捜隊のお姉さんが案内してくれると、子供達も喜ぶからね」
「あ・・はい・」
案内係をするのだと二人は、納得します。
二人の様子をみていた関係者は、突然“マミ”の襟章を見て、懐疑的に独り言を呟きます。
「うん?肩のマークが、少し違うようだが・・・また倉庫の奴らいい加減な衣装を渡したな・・」
「おっと、時間が無い。まあそのままでもばれないだろう。さあ早く、君達急いで!」
ばれないか心配な二人をよそに、時間が押し迫った関係者は、彼女らに仕事の手順を指導するのでした。

開場後は、あまりの来場者に、二人は慣れない事もあり、四苦八苦していたのです。
お昼時になり、ひと段落着く二人。
ロビーの休憩室で差し入れの紅茶を飲みながら、話し合う二人。
「ファ〜生きている??」
「ええ。マミ、ものすごい人だったわねぇ。子供が、あそこまで必死なのを初めて見たわ」
「子供だけじゃないわよ。ほら見て、あそこの人。凄い剣幕で写真を撮っているの」
カメラを持ち歩き、ウキウキした様子で会場に入ってゆく男性を“マミ”は指差すのです。
「うんうん、ほらあの人も凄いわよ。ビデオ撮影しまくり・・・」
二人は、互いに感じていました。
この世界は、自分達の世界と違ってメセドメキアや超人戦士達の脅威もない平和な世界なのだと。
そしてウルトラマンは、恐れられる対象でなく、愛される対象だという事を。
「大人の方が、喜んでいるみたい。私達の世界のウルトラマンは恐怖の対象だけど、ここの世界は違うようね」
「そう思うと、ここの人達は、幸せね」
お互い、笑みを浮かべて、フェスティバルを行き来する人々を眺める二人。

そんな時、“マミ”の袖を引っ張る男の子の姿が、ありました。
「うん?」
「おねえちゃん・・・僕、お母さんと逸れちゃったの」
「あら、迷子なのね。可哀想に・・・、何処に行ったのかなぁ、お母さん?」
迷子の親探しも、彼女らの仕事でした。
彼女らは、男の子(名前ユウ君)を連れて、会場を探して回るのでした。
「カミタマ・ユウ君、ユウ君のお母さん〜いませんか〜」 「ユウ君のお母さん、おられませんか〜」

どこかの山腹に突き刺さるように鎮座する宇宙船の姿が、あります。
そう、ムルバンガス達も、この世界にいたのです。
彼らも状況は、同じ様でした。
「オルバンカス、ムルバンガス・・・ここは何処だい?」
「わかんねぇす、姉貴!」
混乱する彼らは、現在位置を特定する為に、電波の受信を行います。
周辺地域を調査することで、状況を確認するつもりだったのです。
しかし、そのような状況下でも、3人の争いごとは、絶えませんでした。
「お前が、しっかり操作すれば、こんな面倒な事は起きなかったのだよ!」
「いや、姉貴そりゃないですぜ。ムルバンガスの奴が、横から・・・」
「うるせい!このボケ!」 「なに!!」
二人の様子に、頭を抱えるバクシェルミト
「お止め、お前達!本当に、バカ二人扱う、こっちの身にもなっておくれ・・・」

しばらくして、オルバンカスは、状況探査から、面白い画像を探査します。
受信状態が悪い為、内容の把握はできませんでしたが、ウルトラマンが大挙して集まっている画像でした。
「姉貴!!モニターにウルトラマンが!メセドメキアの奴ら、こんな所で何かをやらかす気ですぜ!」
その画像を見てオルバンカスが叫びます。
「ムルバンガス!オルバンカス!あいつらが何を企んでいるか調べてきな!儲け話がころがっているかもしれないからね!」
流石、バクシェルミトは、メセドメキアと同盟関係を結んでいても、彼らの覇権は望んでいませんでした。
いつか奴らの秘密を暴き出し、彼らに取って代わり、銀河を支配するという目的があったのです。
その為に、ムルバンガスの地球での作戦を研究し、アルヴィスの抹殺と共生体の“マミ”“ファ”の確保を画策したのでした。
しかし、作戦は失敗しました。
アルヴィスと“マミ”“ファ”は、行方知れず。
ところが、ウルトラマンの大群が集結中だとの情報をオルバンカスが見つけます。
バクシェルミトは、ここはメセドメキアの秘密の本拠地と勘違いしたのでした。

小型の宇宙艇でフェスティバル会場に着陸する、オルバンカスとムルバンガス。
宇宙船は偽装している為、人々の目には触れません。
急いで降りると、彼らは集まっているウルトラマンの集団に突進してゆくのでした。
「おう!お前ら、待ちな!俺達、武装銀河商人ムルバンガス!オルバンカス!ここに推参!!俺達に黙って・・・」
そんな彼らを意も解さず、係員は彼らを出演者と勘違いして相手にしません。
あんまり唐突なので、オルバンカスもムルバンガスも、躊躇してしまいます。
「ハイハイ、お兄さん方、皆忙しいからね〜。さあ、早く会場に急いで、急いで!!」
ムルバンガスは虚勢を張りますが、やはり相手にされません。
「お、おい!俺達、武装・・・」
「ハイハイ・後でね〜♪」

ビルの待合室で、待機している出演者達に混じって椅子に座っているオルバンカスとムルバンガス。
誰も動こうとせず、静かな個室の中で、二人は小声で会話するのでした。
「おい・・・ムルバンガス・・・なんか様子が変じゃないか?」
「そ、そう、思うか」
「こいつら全員、黙ったまんま、前見て座ったまんまだし、呼ばれると順番に向こうに行くのは、なんだ?なにしてやがる?」
「くそう!翻訳機を忘れたので、こいつらが何しゃべっているのだか分かんねぇ!」
「だから、お前は、ダメなのだよ!」
「なに?!」
二人の剣幕に、隣の座っているウルトラマンが彼らに振り向くと、人差し指を口に当てます。
「しぃー!!」
雰囲気で静かにしろ!と怒られたのが分かった二人は、同じ様な動作を繰り返すのでした。

一方“マミ”と“ファ”の二人も、会場でお母さん探しを続けていました。
「う〜ん、お母さん見つかんないね〜。舞台が終らないと、人が散らないから難しいかな」
人の多さで、上手くお母さんを探してあげられない焦りと、人ごみで疲れてきている“ユウ”君を見かねて、“ファ”は、彼らを休ませる事にします。
その間自分だけでも頑張ろうと、探す事を継続するのでした。
「マミ、私もう少し奥まで探してみるね。貴方はここで、僕と待っていて」
「OKファ。僕、もう暫く我慢してね」
疲れた“ユウ”君を慰める“マミ”の姿がそこにありました。



〈・・・・ウルトラマン達を襲う、謎の宇宙怪獣ドドラとバルン。彼らは銀河に仇名する凶悪な怪獣なのだ!!・・・・・〉
会場から聞こえるアナウンスの声に、関係者からの合図が、オルバンカスとムルバンガスにあります。
「ハイ!出番ですよ、お二人さん」
その動作に不審を覚える二人だったが、促されている為仕方なく付いていくしかありません。
「おい!何かこいつ言っているぞ!」 「こいつ!俺達、武装銀河しょうに・・・・」
「ハイハイ!急いで、急いで」
〈ドドラとバルンの登場だ!危ないウルトラマン!奴らは凶悪だぞ!〉
アナウンスと同時に、周りにいたウルトラマン達が、二人に襲い掛かってきます。
驚くムルバンガスとオルバンカス。
「痛て!あ、痛い!」 「なんだ?おめえら突然、なんのまねだい!」
「くそう!こいつら突然、蹴ったり、殴ったりしやがって、俺達を舐めていやがるのか!」
「メセドメキアと俺達は、仲間の・・・どあ!足、踏みやがった!!」
突然の出来事に、驚き対応できない二人に、次々ウルトラマン達が襲い掛かります。
「こうなりゃ、同盟なんぞ・・・オイ!オルバンカス!あれ見ろ!」
防戦しているムルバンガスの目に“ファ”の姿が映ります。
「痛て!なんだ、ムルバンガス。これヤメレ!」
指差す方向をみると、彼にも馴染みの顔があります。
「あれは・・・」 「ありゃ・・・」
「ファ!」 「マミ!」
「いや、オルバンカス・・・あれはファだ。髪の短いのが、ファ、長いのがマミだ。覚えとけ!!」
細かい事に一々五月蝿い奴だと、オルバンカスは、思ったのです。
「どっちでもいい!奴を追うぞ!」 「おう!」
取りすがるウルトラマン達を振り切って、舞台を飛び出す彼等。
〈ドドラとバルンは、ウルトラマンの攻撃で逃げていくぞ!ウルトラマン達の勝利だ!♪〉
司会の声にも関係なく(当然、言葉が分かりませんのでf(^^;))、躊躇なく目的へ突進する彼等。

「待て!」 「うぉりゃ!」
突然、“ファ”の目前に現れるムルバンガスとオルバンカスの二人に驚く彼女。
「あっ!ムルバンガス!オ?・・カス??」
「貴様、俺達の名前を言えねえとは、ふてえ奴だ!武装銀河商人オルバンカス!良く覚えていやがれ!!」
名前に拘る彼らの意識に、軽い苦笑を禁じえない“ファ”
しかし、周りには大勢の人々がいて、いきなりの戦闘は拙いと考えるのです。
≪この二人と戦闘に入ってしまっては、ここにいる人々に迷惑がかかる・・・≫
奴らが、この世界に、この場所に居る事を、“マミ”に知らせないと、彼女にも危機が迫ります。
≪マミの元に戻らなきゃ・・・≫
オルバンカス、ムルバンガスに、いきなり背を向けると駆け出す“ファ”。
その姿に驚く二人の銀河商人。
「なに?!逃げる??」 「俺達に恐れをなしたか・・・ワハハハハハ」
“ファ”の姿を誤解したオルバンカスに、彼女の行動を推測したムルバンガスは、彼を諭します。
「笑っている場合か!オルバンカス!追うぞ!」 「オ・オウヨ!」
ところが、会場で彼らを出演怪獣と紹介されていた為、多くの観客達が彼らを取り囲んでしまいます。
「くそう!こいつら、なんで集まってくるのだ?」
取り囲んだ観客、多くの子供達が、彼らを触りまくります。
「ペタペタさわりまくりやがって!ウォ、なんだ?透写機か?まずいぞ、こいつら監視ロボットかもしれねぇ」
あんまりにも同じ行動をする子供達に、ムルバンガスは、彼等を監視ロボットだと誤解します。
触るのは、生体反応を調べる為だと・・・
「拙いぜ!オルバンカス・・・」 「まずは、逃げるぜ!」 「オウ!」
慌てて二人は、その場を逃げ出します。
あまりの慌てぶりに驚く周りの人々を残して・・・

しかし、すぐに同じ状況に陥る彼等。
「このままじゃ、うごけやしない・・・」
二人は空きの個室に飛び込み思案していましたが、オルバンカスが、突然閃いたように装置を取り出します。
「おっと!ムルバンガス、良い物があるぜ」
彼が手にしているのは、偽装装置の一種でした。
それは、相手の姿を生体もろとも乗っ取り、操る事ができる装置だったのです。
「お!そいつは。メセドメキアの奴らから奪った簡易品だが、ここにいる生命体を乗っ取れるはずだ」
「オルバンカス、いい考えだ。それで化けて、あいつらを探すのだな」
部屋の外を窺う二人・・・
外に人がいないことを確認すると、ターゲットを求めて、会場を廻るのでした。

そんな彼らの前を、行過ぎようとする男性が二人。
このイベントのファンなのでしょう。
会話が、弾んでいます。
「いや〜、今回のショーは、よく考えられていましたね、musibaさん」
「ええ、ファイト好きさん。あの音楽とのマッチングが、大好きでもう3回も来ているんですよ〜」
「私なんか5回目なのです」
突然、男性二人の前に現れ、行く手を塞ぐ、オルバンカスとムルバンガス。
「オウ!オマエラマテヤ!オマエラノカラダ、スコシカリルゼ!!」
残念ながら、翻訳機の無い彼らの言葉は、異形の声としてしか、男性達には認識ができません。
単なる怪獣の着ぐるみが現れたと勘違いしたのです。
「お!ドドラとバルンだ!こんな近くで見られるとは、運がいいですなぁ〜」
「本当に、嬉しい限りです」
嬉しそうに語る二人に、銀河商人達は諦めムードで察します。
「ダメダ、ムルバンガス・・・コイツラモ・オナジダ・・・」
「メンドクセ、ヤロウゼ」
無理やり二人を捕まえ、装置を作動させる彼等。
男性の体が光に包まれると、銀河商人が、その男達に取り込まれてゆきます。
「え?ええええ?ひゃ〜か・からだが・・・」
「うぉおお、私もです・・・ひぇ〜」
musibaさん達の叫びも空しく、乗っ取られた彼等。
「むぅ・・・なんだか違和感があるが、まあこんなもんだろう」
「これで、邪魔されずに探せれるぞ」 「おうよ!」
地球人に化けた二人は、“ファ”と“マミ”を探し始めるのでした。

銀河商人達の追跡を振り切り、“マミ”の元に急ぐ“ファ”
“マミ”の姿を見つけた“ファ”は、安堵した様子で声をかけるのでした。
「マミ!」
ユウ君を見据えて、“マミ”は、喜んで手を振ります。
「あっ!ファが戻ってきた。お母さん、見つかったかな?」
しかし、“ファ”は、銀河商人が現れた事を“マミ”に伝えるのでした。
「マミ!あいつらが、ここにいるわ」
「え?あいつらって、誰?」
「ムルバンガスとオ・・・カス??」
やはり名前を覚えきれていない“ファ”・・・
「え・・・、あいつらもここへ飛ばされてきたんだ!」
「私達を探しているの。早く逃げなきゃ!」
「でも、この子供は?」
「あっ!」
「お母さんと逸れたままだし、探すって約束したから」
“ファ”と“マミ”の間に挟まれ、心配顔のユウ君。
そんな時、男性が二人、彼女らに声をかけてきます。
「どうかしましたか?」
優しそうな二人に安心した彼女らは、状況を説明し始めます。
「この子、迷子なのですよ」
驚いた雰囲気の男性。
「それは、大変でしたね。お母さんは見つかりましたか?」
「実は、まだなんですよ」
男は、にやりと笑うと、“マミ”に言います。
「私達も迷子を探していたんですよ。実は」
怪訝な“マミ”
「え?」
その彼女に、男は正体を現し、彼女等に襲い掛かってくるのでした。
「マイゴハ、オマエタチノコトダヨ」

“マミ”と男の子を守る為に、銀河商人達との間に割ってはいる“ファ”
彼女は、商人達と戦いながら叫ぶのでした。
「逃げて!」
「マミ!その子を連れて逃げなさい。早く!」
“ファ”の意を理解した“マミ”は、その場を、ユウ君を連れて逃げ出すのでした。
「クソウ!オマイラ、ニガサネエ!!」
「グワ!」
「コノ、ナマイキナ!!」
格闘する”ファ“を心配しながらも会場を逃げ続ける二人。
しかし、子供の脚力には限界があり、遠くには逃げ切れません。
通路の端で、隠れるようにする二人。
「ハア、ハア・・・ユウ君、大丈夫?」
「お姉さん、僕、もう走れないよ〜」
「ファは、大丈夫かしら?上手く逃げてくれているといいけど・・・」
“ファ”を心配する“マミ”。
そんな彼女に、ユウ君の嬉しそうな声が、響きます。
「あっ!お母さん!」
飛び出してゆくユウ君。そこには、お母さんの姿がありました。
安堵の表情の“マミ”
「お母さんが見つかったのね。良かったわね、ユウ君」
しかし、ユウ君の様子が、おかしくなります。
「?!」
突然、母親を突き放すユウ君。
「お前!お母さんじゃない!!」 「!」
驚く“マミ”。そんな彼女に母の姿を借りた銀河商人の親方が、姿を現すのでした。
「フフフフフ・・・サスガ、ウマク・ギソウシタ・ツモリダッタガ、ミヌカレルタナ」
ユウ君を後ろに守り、対峙する“マミ”
「お前は?なに?奴らの仲間なの!」
「ナカマ?アノ・アホドモト・イッショニスルデナイワ!ワラワノ・ナワ・バクシェルミト」
「!」
「銀河商人の元締め!女海賊、バクシェルミト!」
彼女の名前は、宇宙連合でも知れ渡っていました。
科学警察機構にも手配書は送られていました。
稀代の海賊・・・悪逆非道な宇宙海賊として・・・とすれば、ユウ君のお母さんは、もしかして?
「ユウ君のお母さんは、どうしたの?まさか・・・」
女海賊の言葉は、“マミ”の心配を払拭しました。
「シンパイスルナ。オマエガ・オトナシク・ツイテクレバ・ソコノ・ヨウセイタイ・トモドモ・ブジニカエソウ・ゾ」
人質に捕られている以上、無用の抵抗は困難と判断した“マミ”は、軍門に下るのでした。

会場から宇宙艇で移送される“マミ”達。
宇宙艇は、一気に山岳地帯に達し、母船に吸い込まれてゆきます。
艇を出されると、洞窟に急増された閉鎖空間に連れて行かれる彼女達。
「あっ!マミ、無事だったのね」
「ファ、良かった。貴方も無事で」
一足先に“ファ”もここに連れて来られていました。
銀河商人に係わったmusibaさん達も同様でした。
「ところでここは・・・?」
「奴らの基地みたいね。偽装装置の犠牲になったこの世界の人達も、ほらそこに・・・」
“ファ”の答えに納得し、彼らの様子を見る“マミ”。
意気消沈しているはずのmusibaさん達が、生き生きと歓談している様子に、首をかしげるのでした。
“ファ”も同様のようです。
「ほう・・・これは、なんだか宇宙船のセットみたいですなぁ」
「イベントか余興でしょうか?」
「ほら、隊員服を着ているお姉さん方もおられるみたいですし・・・」
男性2名女性1名(ユウ君のお母さん)、子供1名(ユウ君)の全員が、好奇心の塊のように、喜び、状況を楽しんでいるように見えました。
呆然として彼等を見ている“ファ”と“マミ”

その時、ユウ君が、閉鎖空間を作り出している光の源泉を触ろうと手を伸ばしたのです。
「ねえ、これなにかな?光が柱から伸びている・・・」
「あっ!危ない」
状況を見た“マミ”は、咄嗟にユウ君を抱きかかえ光から遠ざけます。
その際に弾いた石が光に当たると、石が蒸発したのでした。
それを驚いたように見つめる、囚われた人々。
「なんだ?!光を制御しているのか?光粒子を制御して壁をつくるなんて、今の地球でできるのか?」
「これって・・・本物??」
「あの〜、お二人さんに聞きたいのだが、ここは、セットなのかな?」
能天気な問いかけに、頭痛がする“マミ”と“ファ”
「なぜ、私と息子は、ここにいるのですか?」
「ウルフェス、終わったのかなぁ〜」
すでに先の危険を認識していない彼等に悩みはつきません。
状況を確認する為に、“マミ”は彼等に事実を話します。
が、当然信じられるはずもありません。
彼等にとって宇宙人やウルトラマンは、空想の世界でしかなかったからです。
「う〜ん、俄かには信じられないなぁ。君達が並行宇宙の人達だなんて」
「ですな。」
納得しないmusibaさんとファイト好きさんの二人。
「でも、私達だけこんなところに閉じ込められている理由が分かりません」
心配そうなユウ君とお母さん。
「それは、3人・・匹ですかな。宇宙人が我々の体をつかったので、証拠の隠滅を図ろうとして・・・」
推測するmusibaさん達。
「殺される??!」 「うえ〜ん、怖いよ、おかあさん」
パニックになるのは避けなければと、“マミ”と”ファ“は、言葉をかけ続けます。
「落ち着いてください、皆さん」 「我々がきっと、助けます!」
「と、言っても、君達も我々同様、囚われの身・・・」
しかし、現状を理解すればするほど、絶望的な言葉しかでないのでした。
「仕方ない、チャンスを待ちますかな。ね、musibaさん。」
諦め顔のmusibaさんは、ふと“マミ”の制服を見入ると、その襟章に注目するのでした。
「ねぇねぇ、ファイト好きさん、これは凄いよ・・・」
襟章を“マミ”の了解で外し手にとって見入るmusibaさん。
科学特捜隊のものと微妙にデザインは異なりますが、通信機としての機能を有している事は、分かりました。
空想でなく、現実の物品に驚き、感動するmusibaさん。
「科学特捜隊の特別遊撃隊かぁ・・・新しいマークだ!これ貰っていいかなぁ??」
「あ!musibaさん、ずるい!」
ファイト好きさんとmusibaさんの申し出に苦笑する“マミ”。
そんな中にユウ君のお母さん〜うる母さん〜も加わるのでした。
「私も、何か頂けます?」「お母さん、失礼だよ。こんな時なのに・・・」
この世界の人々は、すべてこんな能天気なのだろうかと苦笑する“マミ”と“ファ”でした。

そこに現れる、オルバンカスとムルバンガスの二人。
「お前ら!なに騒いでいやがる!」
驚く4人と、それを守ろうと間に入る“ファ”と“マミ”。
「でた!ドドラとバルンだ!」 「きゃ〜」 「いや〜本物に会えるとは、感激ですな、ファイト好きさん」
今度は翻訳機があるため、会話の内容が銀河商人達にも理解できるのでした。
「人に、けったいな呼び名を付けやがって・・・まあいい」
「バクシェルミト様が、お呼びだ。ティシュトリアリングについて聞きたいそうだ」
「マミ、ファ、外にでろ!」
抵抗すれば、囚われている人達に迷惑がかかると考え、彼らの指示に従う“ファ”と“マミ”
その彼女に続けて外に出ようとした彼等を、ムルバンガスが押しとどめるのです。
「おっと、お前らは、まだこの牢獄で待っていろ!」
止められたmusiba、ファイト好きさんの後ろから、うる母さんの声がかけられます。
「あの〜トイレ行きたいのですが・・・」
ムルバンガスは、威嚇をします。
「うるせ!静かにしていろ!」
〈オルバンカス、“トイレ”ってなんだ?〉〈さあ?家に帰りたいって言っているのでは?〉
地球人たちの言葉をすべて理解できない彼らは、適当な事を考えて会話していたのです。
「暫くは、このままだ!いくぞ、オルバンカス!」

制服の彼女らを連れて行った銀河商人を見送る、囚われの人々。
musibaさんが、うる母さんに心配そうに声をかけます。
「トイレなのですか?うる母さん?私達向こうを向いていますから・・・」
「違いますよ。気を引いただけです」 「?」
「先程、ファイト好きさんが、光の棒の制御についてお話していたではありませんか」
「ええ」
「光の高速粒子が、物体の通過を阻み、その物体を破壊するのではと・・・」
「で、考えたのです。光の投射口はあるのに、その光が入る場所がないのです、ほら」
「ね」
うる母さんの指摘した場所を確認するmusibaさん。
「ホントですね、直接壁に触れている」
「ならば、どうやって光の長さを調節しているのでしょうか?」
「もともとの大きさを決めているとか・・・」
論議するmusibaさんとうる母さんにファイト好きさんが、言葉を挟みます。
「はは〜ん、解った!うる母さん凄い!」 「?」
「つまり光が投射された時、先端にそのセンサーがあって、その物質以外を通さないようにプログラムが組んであると!」
「当たり〜。だってここ基地みたいだけど、この部分だけ岩盤露出しているので、あとから装置を取り付けたみたいに見えましたから」
SF大好き、ウルトラ大好きの彼らは、推測から、銀河商人達の機械の機能を解き明かしたのでした。
「で、気を引いている間に、子供に岩を光が放出するラインに置かせました」
うる母さんが指をさす場所に、石が置かれ、光が投射されているのでした。
光が投射されているのに、石は消失していない。
先端部分はセンサーであり、石を動かす事でラインの変更をしたのでした。
石に光の先端を当てたまま、ラインを短くする彼等。
見事、子供が通れるくらいの隙間が完成します。
「ハハハハ、地球人万歳!だね」
「子供なら外にでられそう」 「ユウ君、外にでて、解除のスイッチ押せるかな?」
「簡単だよ、そんな事!」
閉鎖空間から脱出できた彼等に、安堵の表情がみられます。

「よし!脱出成功!」 「早く、外に出ないと・・・」
「ちょっと待ってください」
musibaさんの声に、ファイト好きさんは怪訝な顔をするのでした。
「なんです?musibaさん」
「あの二人をどうします?見捨てるのですか?」
「ふむ・・・」
思案するファイト好きさん。
その彼にユウ君の感想が伝えられるのです。
「お母さん、あのお姉ちゃん達、良い人だったよ」
musibaさんも力説します。
「同じ地球人として、見捨てる訳にはいかないでしょう。彼らがどこの宇宙の人だとしても・・・」
その意見に、ファイト好きさんも同意します。
「たしかに、ドドラとバルンの方が悪役でしょうから」
「ここは一つ、意地をみせますか!」
急ぎ、救出に向おうとするmusibaさん、ファイト好きさんに、うる母さんも同行を求めるのです。
「私も同行してもよろしいですか?」
彼女の意外な言葉に驚く二人。
「うる母さんは、ユウ君を連れて、逃げなくては・・・」
「そうはいきません。子供を世話してくれた恩人を、見捨てる事などできません!」
固い決意を表明する彼女に、二人も同意するしかありませんでした。
そんな母に苦言を呈するユウ君。
「実は、二人が話した事が事実か、確認したいだけじゃないの?お母さん」
苦笑いするうる母さん。
「図星でしたな」 「まあ、私も同じですから」 「では、いきましょう」

宇宙船の一室で、拘束された“ファ”と“マミ”は、銀河商人達に拷問を受けていました。
ティシュトリヤのリングの秘密を知ろうとして・・・。
「さあ、話してもらおう、リングの秘密を!」
拘束具に囚われた“マミ”は、彼等に言い放ちます。
「無駄よ、私達はそのリングについてアルヴィスから何も聞いてないから」
しかし、その言葉を彼らは信じませんでした。
「そんな戯言、信用できるとでも?」
「リングの力を解明できれば、メセドメキアとウルトラマンの力の源が解明できるはず。なればその力を利用して、彼らを支配してくれよう!」
拷問用の電磁波が、“マミ”と“ファ”に投射されます。
「うわ!」 「きゃ!」
その波形に捉えられた二人に、体中の神経に刺さるような苦痛が、加えられます。
「あんまり強情を張ると、苦しむ事になるのだがなぁ」
苦痛の中から、振り絞るように答える“ファ”
「何をされても、知らないことは、答えられないわ!」
それを試てムルバンガスは、再度電磁波を投射し続けるのでした。
「きゃ!!」
苦しむも、秘密を明かさない二人に、呆れるバクシェルミトは、ムルバンガスに出力を上げるように指示をします。
「強情だのう。構わない、もっと出力を上げてごらん」
光に包まれる“マミ”と“ファ”の苦しみは、かなりのものでした。
「マミ!マミ!」
二人は、互いに名前を呼びながら、励ましあうのでした。

そんな様子を、部屋を探し当てたファイト好きさんが、隠れながら観察しています。
「お!お決まりで、拷問ですな♪狙いは、中央のイヤリング・・・かな??」
「なんか喜んでいません?musibaさん」
うる母さんの指摘に苦笑いするmusibaさん。
「ええ、実は、私もこんな雰囲気大好きで、実は必殺シリーズのファンでもあるのですよ」
ファイト好きさんと拷問シーンの議論をし始めるmusibaさんに、うる母さんも呆れ顔です。
「あの〜、場面を楽しむのも良いのですが、そろそろやりません?」
うる母さんは、手に持っているラグビー形状の物体を、二人に見せます。
「うる母さん、それって?」
怪訝な顔の二人に、うる母さんは、胸を張って言うのです。
「そこの部屋に並んでいたので、持って来ました」
「それ、爆弾っぽいですね。ゲージのようなものが、先端に刻んでありますし・・・」
「これ、回すのですか?」
musibaさんは、何気なく動作させるのですが、その物体は、突然脈動を始めると動作音を発生させるのでした。
先端部分が赤くなり、危ない雰囲気の状況が生み出されてゆきます。
「あ!」 「わっ!musibaさん!」 「え?え???」
危険を察したファイト好きさんとうる母さんは、musibaさんから遠ざかります。
「それ、早く遠くに捨てて!」 「逃げろ!」
その騒ぎにムルバンガスが気づきます。
「なんだ?騒がしいぞ?」
「お!お前ら!どうやって逃げ出した!!」
驚くムルバンカスの前に、musibaさんが放り出した先の物体が転がってきます。
「うぁ!ばかやろ!こんなものを持ち出しやがって・・・」
やはりうる母さんの持ち込んだのは、携帯用の爆弾だったのです。
発火点に達した爆弾は、当然のごとく爆発するのでした。

「ぐわ!」 「なに?」 「うひょ!!」
その爆発は、“マミ”と“ファ”の拘束機器を破壊し、脱出に成功するのです。
「ファ、拘束具が、はずれたわ!」
「マミ!大丈夫?」
「体はOKよ。アストロノーツの訓練生時代の頃に比べたら、朝飯前よ!」
このような状況を引き起こした地球人達を、怒りで見据えるバクシェルミト。
「お、お前ら・・・良くもこんな真似を・・・」
「ムルバンガス、オルバンカス、原住生物を駆逐してしまいなさい!」
追い詰められる彼等。
「うへぇ・・・お助け〜」 「怖いよ〜」
泣き叫ぶ彼等の運命は、風前の灯だったのです。
しかし、“マミ”と“ファ”が、彼等を救います。
「そこまでよ!銀河商人達!」
驚く銀河商人達。
「うわ!しまった。お前ら拘束具を・・・」
“ファ”と“マミ”は互いにお互いを見ると、頷きあい変身を決意するのでした。
「ここで決着を!ファ!」 「マミ!」
取り戻したリングでアルヴィスに変身した二人。
「アルヴィス!!」
目の前で、光り輝く二人がウルトラマンに変身してゆく姿に感動する地球人達。
「うひょ〜、すげ〜」 「ああ・・本当だったんだ・・・」 「お母さん、お姉ちゃん達が・・・」 「・・・」
驚き立ち竦む彼等を放り出し、銀河商人達は、アルヴィスの迎撃に奔走するのでした。
「こうなったら、破れかぶれだ!この世界ごとお前らを葬ってやる!」
「姉さん!」
「ムルバンガス、オルバンカス、牙獣を用意しな!」
牙獣が宇宙船から飛び出し、アルヴィスと対峙します。
繰り返し、激闘を重ねるアルヴィスと牙獣。

地球人達は、混乱の中宇宙船を脱出して、山腹に辿り着いていました。
「ハァ、ハァ、やっと地上に出られた・・・」 「ここ何処?」 「さあ?」
「お母さん、あれを!」
ユウ君の指差す方向に、ウルトラマンと怪獣が争っている姿が見られるのでした。
「ウルトラマン・・・本物だ!」 「ファイト好きさん、写真!写真!」 「ビデオの方がいいかも♪」
すでに彼らは、現実を忘れています。
狂喜乱舞、いままで夢であった事が現実となって、目の前に繰り広げられているのです。
「やれ!いてまえ!」 「ウルトラマン頑張って!!」 「負けるな!」 「お姉ちゃん!頑張れ!」
彼等の応援が効いたのか、アルヴィスは牙獣を圧倒するとオリスクビームで粉砕します。
「おお!すげ♪エメリウム光線Aタイプ!かっちょえぇー!!良く見たらティガにも似てるし・・よし!レッドマウンテンガリバータイプと命名するぞー! イケー!RMG!ドドラとバルンも逃がすなー!うおー!」
あんまりなハシャギっぷりの解説に、冷ややかな視線をあびるmusibaさん・・・。



バクシェルミト達は、牙獣が敗れた事で危険を感じ、脱出を図ろうとします。
「くそう!このままでは、こっちも危ない!」
「融合路最大で、宇宙へ逃げるよ!」
「でも、姉さん!ここは元の世界じゃ・・・」
「破砕砲の爆発的なエネルギーでこちらに飛ばされたんだ。お前らが遊んでいる間に空間の歪みを見つけてあるさ、そこに着けな!」
「さすが、姉さん♪」
山腹から飛び出し宇宙へ逃走を図ろうとする銀河商人達。
それを指差し、ファイト好きさんが叫びます。
「あいつら、逃げるぞ!」
「お姉ちゃん達、あいつらをやっつけて!」
「逃がすな!」 「やっちゃえ!やっちゃえ!」
盛んに声援を繰り返す彼等。
その声に応えるかのように、アルヴィスは宇宙船を追います。
宇宙船への距離を詰めるアルヴィス。
「うおおお・・・逃げ切れねぇ・・・」
宇宙船にフラッシュリングを放つアルヴィス。
狙いたがわず命中し、火を噴き爆発する宇宙船。
「わあああ、やられた!オルバンカス!!」
「ひぇ〜、姉さん〜」
「おりゃ、そこの出力あげろ!」
「うぉおおおお」
爆発の瞬間、宇宙船の姿が掻き消えます。
そう転位装置の作動と爆発が同時だったので、姿が掻き消えたように見えたのです。
彼らは、無事にもとの世界に戻れたのでしょうか?
それは、誰もわかりませんでした。


ウルトラマンの勝利に歓喜するmusibaさん、ファイト好きさん、うる母さん、ユウ君達。
「やった!」 「万歳!!」 「勝った!勝った!」
その彼等の前に立ち戻るアルヴィス。
「うぉ!すげ!目の前にほんもののウルトラマンが〜」 「凄い!」 「感動ですなぁ」
その姿を眩しく見上げる彼等。
“マミ”と“ファ”は、アルヴィスを通して彼等に意識を送り込みます。
≪皆さん、本当にお世話になりました≫
<危ないところを、助けてくださり、ありがとう御座いました>
テレパシーに驚く彼等。
<≪私達は、元の世界に戻ります。かれら銀河商人たちの開けた時空の穴を見つけました。≫>
残念そうなmusibaさん達。
「お別れだね」
<ユウ君、お母さんと仲良くね。>
「やっと本物のウルトラマンと隊員に会えたのに♪」
≪musibaさん、私は、この世界のウルトラマンが、好きですよ≫
「凄い体験した〜」 「私も」
<ファイト好きさんもうる母さんも、お体に気をつけて>
≪さようなら≫ <さようなら>
彼等の前から飛び去り姿を消すアルヴィス。
「・・・行ってしまった」
「あ!写真!最後に撮るの忘れた!」 「記念撮影しとけばよかったよね♪」
和気藹藹の皆さんは、ある事実に気づくのです。
「ところで、こんな山の中から、どうやって自宅に戻ればいいのでしょうか?」
「お母さん、おなか減った〜」
互いに顔を見合わせる彼等。
「え・・・・・・・・・・!ここってどこよ!!」
叫びは、山の中まで響いていました。



〜ENDロール〜

新聞記事 “北アルプスで子供を含む男女4人を救出。
   軽装備のまま、無謀な登山。”

写真〜 タンカーで運ばれる4人


写真拡大〜 musibaさんの胸に“特務科学特捜隊のバッチ”が・・・


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